漫画好きの識者の方々に、思い入れのある泣ける漫画を挙げてもらった!
PROFILE:
ロマン優光(ろまん・ゆうこう)
1972年生まれ。高知県出身。「ロマンポルシェ。」のディレイ担当。ソロのパンク・ロック・ユニット「プンクボイ」としても活動している。近著に『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』など。
X:@punkuboizz
真に泣ける海賊漫画
「この漫画が純粋に泣ける」というテーマはある意味で非常に難しいテーマである。
例えば『ONE PIECE』というのは純粋に泣けるところの多い漫画である。だからこそ大人気漫画なのだ。しかし、「この漫画が純粋に泣ける」というテーマで今さら『ONE PIECE』のような日本で漫画を読んでいる人のほぼ全員が知っているような有名作品を紹介したりしたらバカみたいではないか。
だからといって誰も覚えてないような2巻ぐらいで終わる打ち切り漫画を紹介するのも単なる知識自慢にしかならない恐れがある。打ち切りになるような漫画は不祥事などの作品以外の問題が原因でなければ、何らかの一般性に欠ける部分があるから打ち切られたわけで、そういう作品で泣けるというのは個人的なオブセッションが強く影響している。そういう人を選びすぎる作品紹介して「なんだ、全然泣けないじゃないか」と読んだ人に思われるのもイヤなものである。
そういうわけでみんなが知ってるわけではないが、ある程度以上の期間連載されていたようなジャンル内や掲載媒体内では人気がある作品、人気があったけど忘れられている作品を選ぶというのが最適解だと思われる。
米原秀幸の『フルアヘッド!ココ』は『ONE PIECE』と同時期に『少年チャンピオン』で連載が始まった全30巻に及ぶ海賊漫画である。
そういうと便乗作品・模倣作品なのではないかと思う人がいるかもしれないが、連載開始はこちらのほうが何カ月か早いし、作品のテイストも異なる。
独自のSF・ファンタジー的な世界を舞台にスティーブンソンの『宝島』、いやもっと正確に言うならば出崎統が監督したアニメ『宝島』を思わせる破天荒な海賊と少年の関係性を縦軸にスケールの大きな冒険譚が展開される。
ほぼすべてのネームドキャラに見せ場がある、最終回の最後のページまで泣かせてくる作品で、私にとっては真に泣ける海賊漫画はこちらのほうなのである。
