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作家・樋口毅宏が問う「やれやれ、村上春樹が好きな男はキモいんですか?」

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世界的に有名な小説家・村上春樹。読者諸兄のなかには、自身の青春時代に抱えていた葛藤やら不機嫌やらを主人公に投影した経験がある人もいるかもしれない。先日、そんな春樹の「キモさ」を吐露したSNSの投稿が炎上。自身も小説家で、生粋のハルキストでもある樋口毅宏氏が「春樹キモい論争」を分析する。
PROFILE:
樋口毅宏(ひぐち・たけひろ)
1971年、東京都生まれ。出版社勤務の後『さらば雑司ヶ谷』(新潮社)で小説家デビュー。サブカルチャーに造詣が深く、コラム集『さよなら小沢健二』(扶桑社)など著書多数。
twitter:@byezoushigaya
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高田馬場駅前で御本人に遭遇

盛り上がりましたね! SNSで噴き上がった「ずっと春樹がキモかった」問題。発信者がもともと独断口調でポストする方で、以前からその方のことを面白く思ってない方たちから一気に反発が来てしまった感じでした。

僕は村上春樹大好き50代男ですが、「レペゼンハルキスト」の資格があるのか振り返ってみました。

高校生のときに『ノルウェイの森』が社会現象になり御多分に漏れず上巻を読み始めたら授業中もずっと読み耽り、翌日登校前に下巻を買ってやはり授業中むさぼるように読みました。結果、2冊の本を2日で読みました。そんな経験は人生で初めてでした。

以降はデビュー作の『風の歌を聴け』から長編はもちろんのこと、翻訳を除けば短編、エッセイまで、ほとんど読破しているのではないでしょうか。

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コアマガジンで編集者として働いていた四半世紀前、昼メシを食べようと高田馬場駅前の交差点を歩いていたらビックリ! 村上春樹御本人に遭遇したことがあります。

すぐに呼び止めて、「村上春樹さんですか?」と声をかけました。「はい、そうです」。季節は夏。黒のサングラス。半袖シャツと短パンとリュック。その日の朝も『ダンス・ダンス・ダンス』を読み返していたせいか舞い上がりすぎてナンも言えずにいたら、春樹先生ニコッと笑って(これがまた歯が白いんだ)、「はい」と手を差し出してくれた。僕は両手で握りしめ、「ありがとうございますッ」と深々と頭を下げました(ちなみにその後も東京で7、8回は目撃してますがお声掛けしたのはこれ一度切りです)。

はい、長々と失礼しました。この程度のハルキストだと前提した上で以下をお読み下さいね。

樋口流『村上春樹考』

先にノーベル文学賞について触れておきます。みなさん御存知のようにあれって欧米~アジア~たまにアフリカの持ち回り制度なので、今回韓国人のハン・ガンさんが受賞されたため、「春樹さん来年はないな」というのが大方の予想です。春樹さんは世界文学界でもすでに大御所ランクなのでもう貰えないんじゃないのという声もあります。

いま一度、ノーベル賞受賞者全般に見られる3つの特徴を挙げていきましょう。

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