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41本目・『八つ墓村』:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載68

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朝のドラマは15分か。

昔は毎日5分ずつのアニメやコント番組があった。前者は「ジョニーファイター」、後者は「クレイジーの奥さ~ん」。もしかしたら8分ぐらいあったかもしれないがどちらも最高に面白くて夢中になって見てた。毎日たのしみだった。

5分や10分でもおもしろい見世物にはなるのだ。

もちろん深い話や高尚な物語、多層的な感動は作り上げられないかもしれない。だがたのしむことが目的ならばいろんなたのしみがあっていいのだ。

で、この『八つ墓村』は長い!

2時間半。

150分もある。

本来は耐えられないところなんだがこれがまったく耐えられる。

まったく退屈しない。

というのもこの映画、ちょっと他では見られないタイプのオールスター映画なのだ。

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系統も世界観もてんでバラバラのオールスターが次から次に出てくる。

そのオールスターというのも最近だとただの有名人、売名に成功した薄っぺらいのがだらだらと、代理店や芸能プロダクションの忖度に満ちて並んでるだけだがこの映画のオールスターはただの有名人とかではない。

個性の強い、本来ならばひとりかふたり出てたらそれだけでおなかいっぱいになる、タフネスな役者が次から次へ登場する。そしてそれぞれが100%の演技力で個性を発揮する。

現代の若者だったら1割もわからない、知らないかもしれない。だが人間同士だ。迫力や特異な個性は伝わる。萩原健一の登場から始まり、大滝秀治が登場、小川真由美の強烈なアピール、市原悦子のおばあさんの圧、そして渥美清の不気味なインテリジェンス、さらに夏八木勲、田中邦衛の残虐ショー、そして山崎努の……。

何度見ていても、ただ環境ビデオのように流していても気が付けば見入ってしまっている。

すごい映画である。

製作、監督を兼任した野村芳太郎のキャスティングに賭けた労力、飽きさせないテクニック。凄まじい。頭が下がる。

『八つ墓村』(1977年/松竹)
出演/萩原健一、小川真由美、山崎努、山本陽子、井川比佐志、加藤嘉、下條正巳、下條アトム、浜村純、任田順好、山谷初男、浜田寅彦、花沢徳衛、綿引勝彦、風間杜夫、吉岡秀隆、夏八木勲、田中邦衛、稲葉義雄、片岡五郎、山本清、椎谷建治、姿鉄太郎、大谷朗、橋本功、笠井一彦、岡本茉莉、矢野宣、加島潤、丹古母鬼馬二、荒砂ゆき、加藤健一、夏純子、大滝秀治、藤岡琢也、市原悦子、山口仁奈子、島田陽子、中野良子、渥美清
原作/横溝正史
脚本/橋本忍
撮影/川又昂
美術/森田郷平
イマジニスト/山口はるみ
特殊メーク/マキシーン・坂田
殺陣/菊地剣友会
時代考証/柳生悦子
振付/花柳滝蔵
スタントマン/JAC
音楽/芥川也寸志
監督/野村芳太郎

<隔週金曜日掲載>
画像/上記作品DVD

PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OTOKONOHAKABA

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