52本目・『現代任侠史』その4
シャイな初デートとなった縁日散策で梶芽衣子さんと高倉健さんを待っていたのは鈴木康弘が露天商のエロ本屋だった。
私も縁日や夜市は好きで子供のころからよく行った。
知らない町の夜市もたのしいが日頃暮らしている町並みがまったく違う風景になる非日常、脱日常がたのしい。
ふだん行ってるスーパーマーケットやコンビニとは売ってる品物の雰囲気が違うのもたのしい。非日常、脱日常はリラックス、気分転換、そしてストレス解消につながる。日常は日常でたいせつだし貴重なものなのだろうがつらくてたまらないことも多い。しがらみも。人間関係も。そしてまた現実の自分自身との折り合いも。もちろん日常のなかにも希望や夢はある。だがそれが叶うのだろうかというと難しい。そのための努力は続けたい。ま、お互いがんばりましょう。コツコツでも1ミクロンずつでも。三歩進んで百歩退いたとしても、ジリ貧だとしても、ま、頑張りましょう。叶わぬ夢でも、結ばれぬ恋でも、届かぬ目標でも。たとえ行く末がどうであろうともいまここで諦めて活動停止するのはおかしい。それでいいんだったら天体の運行もいまこの瞬間に終わるかもしれない。
結果ではない。
とにかく、結果ではない。
結果が大きく取り扱われる現世であるがそれでも私は言いたい。結果ではない!
ま、話戻してエロ本専門の露店というのが50年ぐらい前にはあったのかもしれない。トラック野郎のなかでも鶴光師匠が露店エロ本屋を演じていた。そのときの客は菅原文太さん。
そして今回の客は高倉健さん。
エロ本やは鈴木康弘さん。仁義なき戦いシリーズで二度、路上で射殺されアスファルトに転がった。もういちどは床の上だったがこちらも殺されっぷりは音、タイミングともに見事だった。