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「この漫画の最終回がとんでもない」吉田豪のTOP3

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主人公が殺人未遂で少年院に4年間入っている間に日本は軍事独裁政権になり、市民の虐殺を繰り返す政府に対して主人公たちはゲリラ部隊となって闘う……はずがストーリーをまとめきれなくなり、主人公は突然自殺し、さらには大地震も起きて、日本が廃墟になったところで連載終了! この投げっぱなしな最終回は、いまも一部のマンガ好きの間で伝説なのである。

「漫画のストーリーというのは、最初から決めて書いているとお思いの読者が多いとおもう。しかしあにはからんや。まったくどっちへころんでいくか、ぜんぜん見当のつかんものなのです」「『大ぼら一代』は、とくにそうでした」「『大ぼら一代』を完結しおえたときには正直いって、ホッとした」

単行本の作者コメントも本音丸出しすぎだが、後に本宮先生はボクのインタビューで、こう言っていた。

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「『なんで、みんなこんなに臆病かな?』って思うんだよね。若い漫画家もそうだけど、結局、無難なところから離れていかないで、いつでも収拾できるストーリーの状況でやるわけでしょ?」「青年漫画を読んでると、1メートルぐらい潜ったところにコインを投げて、『それ拾って来い』って言われたら、そんなの簡単じゃないですか。その領域を出てないんですよね」「俺なんかだったら、どこまで潜っちゃったかわかんないってとこまで潜って探しにいく。10メーターぐらいの所まで落ちちゃってんだよね。どうやったって3メーターぐらいまでしか潜れないよ。それで『すいません、取れませんでした』って、途中でブン投げて終わるとか、そういうことに俺、結構慣れてて免疫があるのかもしれないね。途中まで行ってみたけど、拾えませんでしたっていっても、途中までは面白かったんだからいいじゃない」

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おそらくこれは本宮作品史上、もっとも深くまでコインを投げて、深く潜ってそのまま溺死したような作品なのだ。しかも、途中までは面白かったとすら言えない出来だけど、この唐突な終わり方が異常に面白いのもまた事実なのである。

ほかに印象的な最終回は、「おかあさんがきちがいだから」。きちがいか英雄になると言われた主人公が、最後はあっさり死んで他の登場人物から忘れられていったところで終わる『ばらの坂道』とか、早すぎた『エヴァ』TV版な『告白』とか、70年代頭のジョージ秋山作品に忘れられないものが多いのであった。というか、3作中2作が昭和『ジャンプ』作品!

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バキバキ童貞ぐんぴぃ×吉田豪 年末SPECIALインタビュー

文/吉田豪
画像/『大ぼら一代』11巻(本宮ひろ志/集英社)
初出/『実話BUNKA超タブー』2024年3月号

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