346回 参政党の躍進
2025年7月には第27回参議院議員通常選挙があり、都内在住の自分にとっては影響が強い都議会議員選挙も差し迫っている。物価の高騰が続く中で増税方針は変わらず、米不足問題というわかりやすい失策も表面化し、自民党の支持率は多少の増減はありつつも全般的に下がっている。一方、野党に目を向ければ、ネット世論に沿うような表明を繰り返すことで、一時期は自民から流れたライトな保守層や、経済の悪化や若年層に対する年金制度などによる経済的負担から政治に新しく目を向けた層の受け皿として飛躍的に支持を伸ばしていた国民民主党の支持率の低下が目立つ。定まらない方針、党首や議員のスキャンダル、反ワクチンの須藤元気氏・諸問題が過去に取り沙汰された山尾志桜里氏といった最初から反発が出ることがわかっているような人物の参院選での擁立といったことで順調に信用を無くしていった結果だと思う。本人がのりきでないのに自分たちがひっぱりだしといておきながら、世間の風当たりを見て山尾氏の公認をとり下げる手のひらの返し方も玉木氏の人間的な評価、党としての評価を下げるのに影響があったことだろう。
そんな国民民主党にかわって勢力をのばしそうだと思われているのが参政党である。経済的な政策から自民を見限った層、新しく政治に目を向けだした層の国民民主に変わる受け皿としての支持を集めていくことが予測されている。
れいわ新選組も積極的に消費税廃止などを訴えて勢力をのばしていっていたわけだが、参政党はそれに加えて、国内に拡がる国内に増加する外国人に対する不安や不満を抱えている層を「日本人ファースト」というフレーズを掲げながら取り込んでいる。
参政党は基本的に右派的志向の政党であるのに加え、ディープステート的陰謀論、反ワクチンをはじめとする陰謀論・スピリチュアル・疑似科学の寄り合い所帯のような政党でもある。しかし、選挙活動などではそれらを表面には出さず、表面的には穏健な主張をかかげて人心を集めるようなやり方をしている。
神谷宗幣代表は00年代から右派的な活動をしてきた人物。当初は参政党も「保守」層の支持が高かったが、コロナ禍の中、2020年にアメリカ大統領選にまつわる陰謀論を唱えだしたあたりから、幹部が反ワクチンや陰謀論を唱える人に入れ替わり、反ワクチンやオーガニック信仰の傾向の強い層がメインの支持層に。
神谷氏自身はスピリチュアル界隈と結党以前から交流はあるが、本人がどこまで信じているかはよくわからない。ディープステートに言及したり、ユダヤ人陰謀説を唱えたり、最近では西田昌司氏の「ひめゆりの塔」発言を支持したりするなど、陰謀論や歴史修正主義的な傾向のある発言も多い人物である。
当時の幹部である松田学氏、赤尾由美氏、反小麦で知られる吉野敏明氏もすでに離党し神谷氏の一強体制になる。「クルド人問題」を契機による排外主義的な主張を表面に出してくるようになり、新しい支持層を開拓しているが、陰謀論・疑似科学・スピリチュアルな傾向はかわらない。最近では幸福実現党の幹部であった陰謀論者の及川幸久氏が合流している。