欺瞞だらけの大手日本メディア
ジャニー喜多川の性加害問題が、あらたな局面を迎えている。
黙殺されると思われていたこの問題を、各メディアが大々的に報じ始めたのだ。
メディアの動きを時系列で振り返る。
2023年3月7日にイギリス国営放送BBCで、ジャニー喜多川の性的虐待問題が放送された。
かねてよりジャニーズ事務所によるホモセクハラ疑惑を黙殺してきた日本のメディア。このBBCの放送も、これまでと同様に無風で終わるかと思われていたが、4月12日に岡本カウアン氏が日本外国特派員協会記者会見で告発すると風向きが一変する。
4月21日『ニュース23』(TBS)、4月22日『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日)、同日『ニュースキャスター』(TBS)、4月23日『サンデーモーニング』(TBS)が、一斉に報道。特にジャニーズと蜜月と言われているTBSが報じたことは、大きな驚きだったという。
そして、ついに本丸が動く。
5月14日にジャニーズ事務所が公式ホームページを更新し、藤島ジュリー景子社長が謝罪する動画を配信。
15日、各スポーツ紙が一面で報道。櫻井翔が出演する『news zero』(日本テレビ)も、この問題に触れるに至った。
5月17日には『クローズアップ現代』(NHK)が、予定を急遽変更して「告白・ジャニーズと性加害問題」を放送。
ジャニーズ事務所への風当たりは日を追うごとに強くなっている。
しかし、これまで20年以上沈黙していたのにもかかわらず、各メディアが右習えでジャニーズ問題を報じる姿に気持ち悪さを覚える人はいないだろうか?
メディアがすべきは、「ジャニーズの性加害問題の報道」ではなく、「性加害問題を長年隠蔽してきことへの反省と検証」。
ジャニーズ事務所の性加害はもちろん追及されてしかるべきだが、メディアが黙殺した責任も同じく追及されるべきだ。
元NHKで『DayDay.』(日本テレビ)のMCを務める武田真一アナや、『new23』(TBS)の小川彩佳アナは「報道しなかった責任がある」との旨を述べているが、所詮は点数稼ぎと言われても仕方あるまい。
事実、ジャニーズに配慮し続けてきたことへの検証番組が、放送される予定は現状ない。
忖度体質への検証番組を制作&放送しなければ、第二のジャニーズが生まれるだけである。
ジャニーズの他にも、メディアに影響力を持った芸能事務所は多数存在する。今後、このような人気芸能事務所への忖度体質が改善されるのか、注視する必要がある。
文/編集部
写真/BBCワールドニュース「Predator:The Secret Scandal of J-Pop」(J-POPの捕食者~秘められたJ-Popスキャンダル)」より