「事件当日、ロケットナウに『娘がこんなことをされた』と連絡を入れたんです。しかし、電話対応の時間外ということでAIのチャットが応対するばかりでした。翌朝になって、改めて電話で苦情を入れたところ『確認します』の一点張りで、7分ほど話した後、一方的に電話を切られました。以降、折り返しの電話もなければ、謝罪の一言もありません。企業として説明義務などの対応があるべきなのではないかと思うのですが、なんの音沙汰もないんです」(Sさん)
偽造身分証で登録されたアカウントが複数の外国人に使い回され、その1人が利用者宅で事件を起こした。今回、本人確認をすり抜けた人物を利用者の玄関先まで送り込む結果となった事業者もまた、こうした犯罪を生む構造の〝共犯者〟ではないのか。
「娘は今でも自宅のインターホンが鳴ると、トイレに隠れてしまいます。また、外を歩くときは、私の手を離すことができません。路上でフードデリバリーの配達員を見かけるのが怖いんです。大きなリュックを背負った自転車とすれ違うときには、身を固くして手をぎゅっと握りしめてくるんですよね……」(Sさん)
今回の事件を1人の外国人による犯罪として片づけていいのだろうか。偽造された身分で登録した人物が、実際に利用者の玄関先まで来られた。こうした事態を放置すれば、第二、第三の被害者が生まれかねない。便利さと安さの裏側で、誰が商品を届けているのか。その身元を担保する責任が事業者にはあるはずだ。
取材・文/中山美里
初出/『実話BUNKAタブー』2026年12月号
写真/写真ACより
