頭でっかちな作品か アホっぽい作品か二択
サッカーワールドカップが始まるということで、現在U−NEXTなどでも無料配信されているサッカー漫画。しかし、そのどれもが三笘薫のいない日本代表の試合よりも退屈です。
最近の主流は、『GIANT KILLIG』から始まったウンチク系。戦術論や技術論を詰め込んでいて、なんか鼻につきます。描かれている内容は、サッカーファンならほぼ知っている薄い話なんですけどね。
ウンチク系以外は『ブルーロック』や『キャプテン翼』など現実離れしたトンデモ作品しかなく、『スラムダンク』のようなまともなスポーツ漫画がひとつもありません。これだけメジャーで見どころの多いサッカーという題材をつまらなくできるのは、サッカー人気に便乗しただけの腕のない漫画家が多い証左と言えるでしょう。
ブルーロック
日本がW杯で優勝するために、世界一のストライカーを誕生させるプロジェクトが極秘で発足。その一環で「ブルーロック」なるストライカー育成監獄に閉じ込めて猛練習させるというお話です。
サッカー漫画というか、試験を突破できなかったチームは即脱落していくバトルロイヤル漫画。ターミネーターみたいなゴールキーパーロボットと勝負し始めて、一気に読む気が失せました。
バトルロイヤル形式ゆえ、不合格となったキャラがどんどん切り捨てられていくので、脇役の描写も薄すぎます。登場人物の9割が噛ませ犬です。サッカー好きが読んだら2話で切るレベルなのに人気な理由は、腐女子のマンズリ需要が高いから。実際、合宿中の風呂のシーンがやたら多いです。
一流のストライカーはエゴが大事という古いストライカー論をでドヤ顔で披露しているのも失笑。現在世界一のフォワードのハーランドはエゴを捨ててますけど? 「本田や香川? そいつらってW杯優勝してなくない?じゃあカスでしょ」ってバズ狙いの有名な台詞がありますが、その発言をしているコーチもW杯を優勝していないというブーメランに作者はお気づきでない? この台詞はジダン的なキャラに言わせないと成立しないでしょ。
他にも、法一保守監督(森保監督)を戦術がない無能に描き炎上狙いに余念がないいっぽうで、日本代表とコラボすると法一正次に名前を変更。心底ダサいな。
アオアシ
自分勝手なフォワードだけど、フィールドプレイヤー22人の位置を完璧に把握できるという特殊能力持ちの主人公・青井葦人が、その力を生かすためにサイドバックに転向。元日本代表でスペインで大活躍した早熟の天才が監督になって、青井をトップ選手に導くというあらすじ。作者は、あえてサイドバックを主人公にするのがカッケーと思ってそうだけど、ジャイアントキリングっぽい既視感のある設定です。
試合を打開するのはいつも同じパターンで、青井がゴールとは逆の方向にドリブルして、敵がつられた瞬間に逆サイドのドフリーの味方にロングパスって感じ。めちゃくちゃ想定の範囲内な戦法だな。『アオアシ』はリアルなサッカー漫画と評価されがちだけど、何回もこの手が通じるのがご都合主義すぎです。しかも、絵が下手で試合中どっちの方向に攻めているのかわからないのが致命的。せっかく最大の見せ場であるサイドチェンジのシーンなのに、後ろに思いっきりバックパスしているのかと思ったわ。
あと頻出するのは、貧乏な母親をいじられて奮起するシーンと、ヒロインと両思いなのにすれ違うシーン。
ライバルとか壁になる選手が軒並み嫌な性格だったり、栄養満点の献立を考えてくれるヒロインに失礼なことを言う主人公がアスペすぎたり、ヒロインはいつも顔を紅潮させてエロがりを奏でていたりと、登場人物全員に感情移入ができません。
試合がくるたびにサッカー選手として成長するための禅問答を監督から与えられて、その謎解きを読者も一緒に考えていく形で物語が進んでいきますが、これが説教くさくてつまらない。進研ゼミの漫画を読んでいるみたいな気分になります。技術論とか個人戦術論がドヤ顔で出てくるから、読者はレオザフットボール(笑)とか好きなんかな。実際、作者もサッカー経験がないらしい。やっぱり似た匂いを感じたわ。
GIANT KILLING
日本代表のスター選手・達海猛が若くして大怪我を負って、若手監督に転身。戦術を駆使して、タイトル通り弱小チームが大物食い(ジャイアントキリング)していく……という触れ込みですが、達海監督は意外と具体的な指示を出さないんですよね。カレーパーティーで頑張った人をスタメンに抜擢してみたり、コーチに采配を一任してみたり、オシムみたいに無能を雰囲気でケムに巻くタイプです。
戦術家と思わせて、実際は心理戦ばかりなのも看板倒れ。「あの選手は性格が優しいから味方のアガリを待つはずだ、そこでボールを奪取しろ」「連敗中だから先制点を欲して前かがりで来るはずだ。そこでカウンターを狙え」みたいな。戦術ってそういうことじゃなくない? サッカー通向けに見せかけて、実際は戦術マニアを唸らせるには程遠いです。
試合シーンは、格上相手の大舞台で、もう1人の主人公・椿選手が覚醒してなんとか勝利するのがお決まりのパターン。結局戦術関係ないじゃん! 外国人をステレオタイプに描きすぎていて差別的なのも気になります。外国人選手の肌の色は真っ黒で、髪型はチビク◯サンボ。サッカー脳が低くて、メンタルが安定しない脳筋プレーヤーみたいな描写が多いです。これ、人権派に見つかったら大問題になるのでは? 『アオアシ』などに続く、ウンチク系サッカー漫画を流行らせた罪深い作品です。
フットボールネーション
もも裏の筋肉を使えている選手のみを集めて、草サッカーチームが天皇杯優勝を目指すストーリー。あらすじを聞くだけでも、ウンチク系特有のしゃらくささが嫌になります。海外の一流選手はもも裏を使って、日本人はもも前しか使えないそうです。 「4カ月で優勝賞金1億円を山分けってコスパよくね?」みたいなノリで草サッカーの有名選手をスカウトしていくんですが、さすがにアマがJ1のクラブに勝てないって。
その割に筋肉の動かし方を、図鑑みたいにやたら詳しく解説していて、リアルな漫画にしたいのかフィクションに振り切りたいのかわからないです。インナーマッスルを鍛えるための歩き方講座みたいな地味なページが延々と続きます。
DAYS
サッカー漫画なのに1コマ目が女性で読む気が失せた。恋愛漫画かよ。
イジメられている主人公を助けてくれたのはサッカーの天才で、それをきっかけにサッカーを始めるという手垢がつきすぎた展開。チャットGTPで1秒で作れそう。
作者はおそらくサッカーに興味がなく、天才の描写は「2ゴール3アシスト」みたいなナレーションで処理されます。絵で才能を見せてくれよ! サッカー素人の主人公は走ることしかできないので、毎回毎回、限界を超えてボールを追う姿で感動を煽ってきます。
ちなみに1巻はずっと走るシーンでボールすら蹴りません。恋愛要素をプラスした『マラソンマン』だと思ってもらって大丈夫です。
BE BLUES!〜青になれ〜
小学生編から始まって、あっという間に高校生編になるテンポの良さは素晴らしいですが、その分試合がたんぱくすぎ。2〜3試合勝ったら全国大会出場みたいな感じ。県予選の準決と決勝が2ページで終わったのはびっくりしました。
弱い相手にあっさり負けたり、負けたらインドネシアに転校で日本代表の夢を諦めないといけないというストーリー的に絶対に勝つ流れの試合で負けたりするので(結局日本に残るけど)、展開はマジで読めません。主人公が在籍するサッカー部の強さが等身大で、感情移入できる人は多そうですが、サッカーを別のスポーツに置き換えても成立してしまう。
スーパーゴールのシーンはプラティニとかペレの有名なプレーのトレースです。
エリアの騎士
天才の兄を持つ弟は、うだつの上がらないサッカー部のマネージャー。だが一流のゴールへの嗅覚と飛び出しの感覚を隠し持っていて、天才の兄の球足の強いキラーパスを受けれるのは弟だけみたいな話。一流のパスは厳しいみたいな中田英寿のネタを本気にしてそう。イニエスタのパスは優しいぞ。
兄と自転車で二人乗りしてるときに交通事故に遭って兄が死に、心臓を移植してもらった弟が奮起する方向に話が展開していきますが、天才の心臓だからゴール前でメンタルが強くなったという設定もめちゃくちゃ。心は心臓にないから。
中学の試合なのに実況がついてるのもアホっぽいです。実況のような狂言回しがいないと、試合を上手に見せられない画力ってことです。
ANGEL VOICE
『スラムダンク』『ルーキーズ』のパクリのひどい絵が、最終巻では商業誌でも耐えられるくらいには上達していて、無名漫画家の絵の向上が楽しめる。名うての不良たちが弱小サッカー部に配属されて、最終的に勝利していくという、恥ずかしいくらいにありふれたストーリー。お涙頂戴展開が露骨で、キャラもずっと号泣。35巻の見開きシーンが1巻の表紙と同じという伏線回収は必然性が感じられず、これに喜ぶ読者も安易できしょい。
Mr.CB
電車でぶつかった体幹の強い無名の高校生から特別な才能を感じとり、元日本代表のセンターバックが自クラブに勧誘して育てていく話。 センターバックとしては背が低いから落下地点の予測を早くするために野球をさせるとか、野球の小さいボールを追うと目が覚醒するとか、練習の理由づけがいまいち釈然としないです。まあ、これらは百歩譲っていいけど、キャッチボールでフィードの距離感が養えるは嘘だろ。
マネーフットボール
微妙なサイドバックの選手が、ロングスロー1本の価値を13万円と見出し、これを武器にのし上がっていく。選手の契約事情について詳しく書かれていてリアル。試合はサクサク終わっていくのでテンポはいいけど、ゴールシーンが常にロングスローなのでさすがに飽きる。 年俸が安い2部リーグのプロ選手の厳しさがポップな絵柄で描かれています。打ち切りとなった作品だけど、ウンチク系のなかでは一番面白いです。
フットボールアルケミスト
代理人の先崎が主人公。埋もれているけどヨーロッパで活躍できる選手を発掘していく物語は新しくも、原作者の木崎伸也の見る目がないから説得力は皆無。 賄賂でUー20ブラジル代表にして市場価値を上げて手数料を抜く話が出てくるけど、それはめちゃくちゃ有名。契約書の8割出場保証はスタメンとは書かれていないから要注意とか、サッカーの闇に迫ると鼻息が荒い割には、裏話のレベルが低いです。
イナズマイレブン
キーバーである中学サッカー部の主人公はじめ皆が超能力まがいの必殺技を駆使してサッカー(?)するトンデモ中のトンデモサッカー漫画。小学校低学年向けの『コロコロコミック』掲載のサッカー漫画なので、まともに突っ込むのも野暮な話ではありますが、許せないのは世界大会でイングランド代表ではなく、イギリス代表と戦うこと。スコットランドやウェールズのアイデンティティをガン無視です。もはやヘイト漫画と言っていいでしょう。
古のサッカー漫画も当然つまらなすぎる
最近のサッカー漫画はウンチク系がメインストリームですが、昔は必殺技が飛び交うトンデモ系が人気でした。
スカイラブハリケーンやファイヤーショットの『キャプテン翼』は、ネタ枠で消費されているだけなのに作者は勘違いしてスピンオフを作りまくり。『シュート!』も消えるヒールリフトくらいから超能力バトルに移行。というか、消えるヒールリフトもファントムドリブルも、観客が360度から見ているのに誰もタネに気づかないのおかしくない?
サッカー漫画でヒットした作家は、その他の作品を描くとまったく面白くないというのも特徴です。
