漫画好きの識者の方々に、思い入れのあるバッドエンドを挙げてもらった!
PROFILE:
白正男(はく・まさお)
職業:義士、漫画原作者。出身成分:核心階層(抗日戦士)。正しい歴史認識と人権思想を啓蒙するため、本誌連載作品『テコンダー朴』の原作を担当。
X:@hakubaek31、@taekwondo5000
当時SNSがあったら炎上していたはず
『別冊マーガレット』で連載されていた『かしこい男は恋しかしない』は、おそらく少女漫画史上初の学歴ラブコメ。学歴マウントと青春コンプレックスを拗らせた高偏差値男子高生の生態を描いたギャグ漫画。主人公・大沢正直は日本トップクラスの偏差値を誇る超名門の中高一貫男子校「開帝高校」の2年生。東京一工以外は大学とは認めず、地帝・駅弁を見下し、私文などは論外という思想の典型的な学歴厨。最終話で唐突に始まった東大編では、正直は東大に落ちて慶應に入学。新歓コンパで自己紹介中に精神崩壊して「俺は東大僅差落ち、慶應余裕合格だぞ!!」と泣き叫ぶバッドエンド、と思ったら全ては夢で、目が覚めたらまだ高校2年だったというオチ。全4巻という早い完結だったのは、男子校の陰キャの生態や学歴ネタに全振りした尖った作風が、『別冊マーガレット』のメイン読者層と合ってなかったからではないか。メイン読者層の女子中高生の多くはやはり王道的な恋愛漫画を求めており、彼女らにはこの作品は少しハードルが高かった可能性がある。同じ集英社の『少年ジャンプ+』あたりに移籍して続ける選択肢はなかったのか。あまりに早い完結は残念で自分的にはバッドエンド。平成の学歴ラブコメの金字塔『東京大学物語』の最終話も夢オチの一種で賛否両論だった。10年近く連載されて34巻にわたって描かれ積み重ねてきた物語がなかったことにされたのだ。当時(2001年)SNSがあったら炎上していたはず。同じ作者の『日露戦争物語』の最終話は無残としか言い様がない。まさにバッドエンドの極み。
