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アレン様:サムソン高橋「ハッテン場から愛をこめて」連載15

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第15回 アレン様

個性は勃起の障害になる。これは、ノンケもゲイも同じ、わりと普遍的な事実なのではないだろうか。

うちの近所に大学があるのだが、男子学生はそろいもそろってマッシュヘアにオーバーサイズの服。遠くから見るとなめこ汁のようである。

他人と違うのが怖い。昨今の世間はそういう同調圧力が強くなっているとも聞くが、単にモテたいという下心ゆえなのではないか。二丁目に行くと短髪・ヒゲ・ハーパンの判で押した金太郎飴ばかりだが、彼らが同調圧力に苦しんでいるという感じもしない。陰茎アピールを考えた結果なのだ。ノンケもゲイも、毒々しい自己主張よりも主流に身を任せて個性を消していたほうが女心も陰茎も萎えないのである。

女子も同じことで、男受けが良いとされるのはコンサヴァティヴな格好で、決して服飾専門学校生ではない。個性丸出しだと生きづらい、令和はそういう時代になってしまった。

珍獣を超えた奇天烈な美と言語感覚でネット界で人気を誇るアレン様も、この時代だからこその存在かもしれない。個性しかないのだから。

アレン様はマダムタレントと自称されているが、10年ほど前テレビに出た頃は「謎の整形美少年」というふれこみだった記憶がある。LGBT枠なのかもはっきりしていなかった。おそらく、当時はアレン様もモテとか世間体とかいう魔物に一喜一憂していたのだろう。

何がきっかけにふっきれたのかは知らないが、アレン様は瞬く間に、いわゆる普通のLGBTの枠から多大にはみ出した美の珍獣となった。おそらく最初の整形はコンプレックスがきっかけだろうが、それはすぐに自己実現と自己承認への手段となり、ゆるぎない自信とともに毒々しい個性としてラフレシアのように華開いたのだ。そのこと自体は素敵で素晴らしいと思う。

 

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タレント的にアレン様と比較できるのは、IKKOとマツコかもしれない。

IKKOとアレン様が似て非なるのは、小学生にも人気のIKKOに対し、アレン様はなかなかの18禁的存在であることと、アレン様はクリマンと呼ばれるファンダムが強烈で、新興宗教的存在になっていることだろうか。

アレン様は先日もXにて路上で巨根を吸引し精液を吸い取ったとの報告をされていてなかなか素敵なのだが、そのように破天荒でありながらアレン様の言うことは意外と当たり前というか、道徳的なのである。

アレン様の著作や連載を読み、私が連想したのは御大美輪明宏様だった。美輪様も意外と当たり前で道徳的なことしか言わない人だったが、だからこそ美の珍獣的外見と合わさると、カリスマ的効果を産み出したのだろう。美輪様の後継者はアレン様だとも言える。ただ、60歳近く若いのにこちらはずいぶんと保守的なのだ。

アレン様は先日『ABEMA Prime』にて、トランスジェンダー受け入れを発表した女子大について「多様性を武器に変な理想をぶつけてくる人がいる。女子大などに元々男性の方が入ってくると不安を助長する可能性がある」「性別で特別視しなくていい。世界中でLGBTQの人がパレードをしているが、余計に特別視される機会を作っている」と発言されて、一部の反感と一部の絶賛を浴びた。

アレン様とマツコが似て非なるのは、知識の差である。

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