68本目・『棚に残したいトラック野郎一番星北へ帰る』その2
山田うどんは桃さん(菅原文太)と玉(せんだみつお)が昼食をとるお店として登場する。
店の外の道路沿いにテーブルと椅子がある。
テラス席である。
実際の店舗にテラス席があったかどうかはともかくお店の外観をバックにそこでうどんを食べれば店名や雰囲気もよくわかるので宣伝として申し分ない。
山田うどんはそうして全国の東映系劇場に姿を現した。
四国で高校生生活をおくっていたJが山田うどんという店の存在を初めて知った瞬間である。
まだグルメ紹介みたいな文化もそれぞれの町々、近所の地方紙、タウン情報誌などが展開する飲食場所としての実用以外にはあまりなく(巨匠作家のエッセイなどに文学として存在もしていたが)、そういう意味で行くことはないかもしれない、行くことがあったとしても必要に迫られての栄養補給というより娯楽に近い、そんな文化が2026年現在ではあたりまえだが。
そういう意味では現在のグルメ文化はサブカルチャーまたはレクリエーションであり1978年『トラック野郎一番星北へ帰る』に山田うどんが登場するその雰囲気、おもしろさは文学的でも実用的でもなくサブカルチャーの黎明とも言える。
ま、実際にはJのように本件で知って以来、山田うどんが特別なお店になってたりする人間も少なくないはずなので宣伝という意味でじゅうぶん実用的なのではある。
が、ま、それにしても、である。
この山田うどん登場の場面は映画の中でものすごく重要というわけではない。
かといってあってもなくてもいいかというとそうでもない。
物語的には重要ではないが映画『トラック野郎一番星北へ帰る』という鈴木則文監督東映東京撮影所作品という意味では重要である。
芯かもしれない。
いや、芯である。
だからJはもちろん全国の東映系劇場で当時この映画を見た人々の脳裏からこのシーンが消えることはなかった。全員とは言わないが、おもしろいことが大好きな、格式伝統とかそういうものに囚われない、ある種アナーキーでフラットな、もうなんでもいいから世の中のすました顔してる奴らとかこうしなさい、これが正しい、みたいな息苦しさを押し付けてくるものに辟易としてたにっちもさっちもの我々の脳髄にこのシーンは響いた。
好きな女性のことが気になって気になって頭がいっぱいになってる桃さんが昼めしにうどんを食べている。
桃さんの隣では助手の玉がうどんを食べている。もう5杯目か6杯目だ。
玉は驚く。
桃さんがうどんではなく、灰皿のタバコを食べているのだ。この食べ方がおもしろく、かつ、趣深いのであるが詳細は次回に記そう。
このシーン。おもしろいかどうかといえばそれほどおもしろいわけでもない。爆笑というわけではない。だが。それなのに。
店の外の道路沿いにテーブルと椅子がある。
テラス席である。
実際の店舗にテラス席があったかどうかはともかくお店の外観をバックにそこでうどんを食べれば店名や雰囲気もよくわかるので宣伝として申し分ない。
山田うどんはそうして全国の東映系劇場に姿を現した。
四国で高校生生活をおくっていたJが山田うどんという店の存在を初めて知った瞬間である。
まだグルメ紹介みたいな文化もそれぞれの町々、近所の地方紙、タウン情報誌などが展開する飲食場所としての実用以外にはあまりなく(巨匠作家のエッセイなどに文学として存在もしていたが)、そういう意味で行くことはないかもしれない、行くことがあったとしても必要に迫られての栄養補給というより娯楽に近い、そんな文化が2026年現在ではあたりまえだが。
そういう意味では現在のグルメ文化はサブカルチャーまたはレクリエーションであり1978年『トラック野郎一番星北へ帰る』に山田うどんが登場するその雰囲気、おもしろさは文学的でも実用的でもなくサブカルチャーの黎明とも言える。
ま、実際にはJのように本件で知って以来、山田うどんが特別なお店になってたりする人間も少なくないはずなので宣伝という意味でじゅうぶん実用的なのではある。
が、ま、それにしても、である。
この山田うどん登場の場面は映画の中でものすごく重要というわけではない。
かといってあってもなくてもいいかというとそうでもない。
物語的には重要ではないが映画『トラック野郎一番星北へ帰る』という鈴木則文監督東映東京撮影所作品という意味では重要である。
芯かもしれない。
いや、芯である。
だからJはもちろん全国の東映系劇場で当時この映画を見た人々の脳裏からこのシーンが消えることはなかった。全員とは言わないが、おもしろいことが大好きな、格式伝統とかそういうものに囚われない、ある種アナーキーでフラットな、もうなんでもいいから世の中のすました顔してる奴らとかこうしなさい、これが正しい、みたいな息苦しさを押し付けてくるものに辟易としてたにっちもさっちもの我々の脳髄にこのシーンは響いた。
好きな女性のことが気になって気になって頭がいっぱいになってる桃さんが昼めしにうどんを食べている。
桃さんの隣では助手の玉がうどんを食べている。もう5杯目か6杯目だ。
玉は驚く。
桃さんがうどんではなく、灰皿のタバコを食べているのだ。この食べ方がおもしろく、かつ、趣深いのであるが詳細は次回に記そう。
このシーン。おもしろいかどうかといえばそれほどおもしろいわけでもない。爆笑というわけではない。だが。それなのに。
(この項、つづく)
『トラック野郎一番星北へ帰る』(1978年/東映東京)
出演/菅原文太、大谷直子、せんだみつお、新沼謙治、春川ますみ、舟倉たまき、谷村昌彦、今福将雄、児島美ゆき、桑山正一、風見章子、沢竜二、亜湖、土方弘、内田勝正、三崎奈美、高月忠、土山登士幸、相馬剛三、河合絃司、須賀良、大木晤郎、清水照夫、奈辺悟、司裕介、田中邦衛、嵐寛寿郎、成田三樹夫、黒沢年男、愛川欽也
企画/天尾完次、高村賢治
脚本/掛札昌裕、中島信昭、鈴木則文
撮影/中島徹
録音/広上益弘
照明/小林芳雄
美術/桑名忠之
助監督/澤井信一郎、森光正
記録/高津省子
進行主任/石川通生
擬斗/日尾孝司
音楽/木下忠司
協力/常磐ハワイアンセンター、花巻温泉、山田うどん
監督/鈴木則文
企画/天尾完次、高村賢治
脚本/掛札昌裕、中島信昭、鈴木則文
撮影/中島徹
録音/広上益弘
照明/小林芳雄
美術/桑名忠之
助監督/澤井信一郎、森光正
記録/高津省子
進行主任/石川通生
擬斗/日尾孝司
音楽/木下忠司
協力/常磐ハワイアンセンター、花巻温泉、山田うどん
監督/鈴木則文
※杉作さんの新刊『あーしはDJ』(イーストプレス)が発売中!
<隔週金曜日掲載>
画像/『トラック野郎一番星北へ帰る』のDVDジャケ
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OOKAMINOHAKABA

