66本目・『実録三億円事件時効成立』その5
小川真由美さんがお亡くなりになった。
お亡くなりになっていた。
発表されたのは先日だがことしの3月に亡くなっていたそうだ。
孤独死と報じられた。
たったひとりで、だれに看取られるわけでもなく、死んでいたそうだ。
この、小川真由美さん主演の映画『実録三億円事件時効成立』について書くのも今回で五回目。3か月前から書き始めたわけだがそのときはすでにお亡くなりになっていた。
お亡くなりになったと聞いて小川真由美さんを見る印象が変わるかといえば変わらない。
作品の雰囲気も変わらない。
監督の石井輝男さんも亡くなってこの夏で21回目の夏である。
亡くなったという報せを受けたとき、私のいた西東京は激しい雷雨だった。
記憶違いかもしれない。雷に打たれたような衝撃だった。
それは石井輝男さんが身近だったからである。石井さんとの関係で、まだ果たされてないことがあったからである。はっきり言えば、あやまりたいことがあった。関係は修復されているようにと思えたが謝罪が足りてなかった。
この世に生まれてきて、死んでいくとき、それらはすべて途中なのだ。
途中だから突然、生も死もやってくる。
だからあやまるタイミングがなかった。
その申し訳ない気持ちを抱えたまま、Jは石井さんに対している。石井さんについて考えるとき、思うとき、語るとき、その気持ちを抱えている。
小川真由美さんに関してはそれがない。
ただ、身近なひとならあるだろう。
たったひとりの旅路の果てに、亡くなった小川真由美さん。
孤独死という言葉が適しているとJは思わない。
小川真由美さんの旅の終わりに、その終わり方は、そぐっていた。
身近なひとにはまた違った思いがあるだろう。それはそれでいい。
小川真由美さん。
ご冥福をお祈りします。
(この項、つづく)
『実録三億円事件時効成立』(1975年、東映東京)
企画∶太田浩児、坂上順
原作∶清水一行
脚本∶小野竜之助、石井輝男
撮影∶出先哲也
照明∶川崎保之丞
録音∶広上益弘
美術∶藤田博
編集∶祖田冨美夫
音楽∶鏑木創
監督∶石井輝男
※杉作さんの新刊『あーしはDJ』(イーストプレス)が発売中!
<隔週金曜日掲載>
画像/『実録三億円事件時効成立』のDVDジャケ
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OOKAMINOHAKABA


