64本目・『空の大怪獣ラドン』前編
博多にはなんどか行ったがそのうちのある日。誰だったか思い出せないが、大きなビルを指さして、
「あそこにラドンが来たんですよ」
と教えてくれた。
ラドン。
ラドン温泉という看板を見るたびに思い出す空の大怪獣ラドン。Jが生まれる前の映画だが馴染みがあるのはおそらくむかしはテレビでよく放送されていたのだろう。積極的に見た記憶はない。ほんと、テレビでナイターが雨で中止になったときとか、深夜とか、年末年始とか、むかしは古い映画を見る機会が多かった。
ものすごく有名な怪獣なのだがプラモデルとかソフビ人形とか、あまり記憶にない。人気がないのだろうか。
いや、そんなこともない気がする。東宝の怪獣が集まって宇宙大怪獣キングギドラを迎撃するときには重要な存在だった。ゴジラに文句を言ったりしてた気がする。大ベテランならではの存在感と威厳、それがありつつも軽いタッチ。俳優でいえば田中邦衛、加藤武、平泉成、橋爪功といったあたりだろうか。女性だと菅井きん、野村昭子、三戸部スエ。遠藤憲一、江口のりこ、滝藤賢一あたりが続くように思える。チーム・ラドン。
その貴重なバイプレイヤー、ラドンも最初は主役だったのだ。それが冒頭に記した、博多のデパートの屋上に飛来した、空の大怪獣ラドンである。
(この項、つづく)
『空の大怪獣ラドン』(1956年/東宝)
製作/田中友幸
原作/黒沼健
脚本/村田武雄、木村武
撮影/芦田勇
美術/北辰雄
音楽/伊福部昭
特技監督/円谷英二
監督/本多猪四郎
※杉作さんの新刊『あーしはDJ』(イーストプレス)が発売中!
<隔週金曜日掲載>
画像/『空の大怪獣ラドン』のポスター
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OOKAMINOHAKABA

