『バチェロレッテ』は『バチェラー』を引き立てるための番組
確かにバチェラーのバックボーンが既に描かれているため、『バチェロレッテ』出演者がバチェラーとなれば、より番組に深みを与えることができる。
黄皓氏がバチェラーを務めた『バチェラー・ジャパン』シーズン4は黄皓氏のキス大安売りなどもあって盛り上がったが、その盛り上がりはある意味『バチェロレッテ』あってこそのものだっただろう。そういう意味で、視聴者にとって既に馴染みある存在をバチェラーに起用するのは、制作サイドとしては分かる。しかし、そうなると『バチェロレッテ』ってなんだったの? という気持ちにもなってくる。これでは、『バチェロレッテ』という番組が『バチェラー』を引き立てるためにあるようなものではないか。
黄皓氏だけなら、彼のスペックの高さもあって、たまたまだと片付けることもできたが、黄皓氏、長谷川氏と『バチェロレッテ』からのバチェラーが続くと、『バチェロレッテ』は魅力的なバチェラーを選ぶためだけの存在意義しかないかのように思えてくる。それはまるでバチェラーのエピソード0の物語を紡ぐだけの番組に成り下がってしまっているようだ。『バチェラー』は男性が選ぶ側&女性が選ばれる側の番組で、選ばれる側の女性陣の努力やあざとさ、空回りぶりを観て楽しむものだが、男性だけがいつも選ぶ側なのはおかしい! という声もあってか、女性が選ぶ側&男性が選ばれる側である『バチェロレッテ』も作られることになったと思いきや、結局『バチェロレッテ』は『バチェラー』を引き立てるためだけの番組に過ぎなかったのだ。他国の『バチェラー』『バチェロレッテ』のことは分からないが、少なくとも日本では。
この国における男女平等がまだまだ程遠いのは、ネットでやれ「弱者男性」だとか偉そうに論じている女性差別主義者以外は認識していることと思うが、女性視聴者がメインと思われる『バチェラー』『バチェロレッテ』でも男女平等への程遠さはいかんともしがたく漏れ出てしまうのだ。
文/サイゼリ子
写真/『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン2出演時の長谷川惠一氏のプロフィール写真