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共感性羞恥をよぶ唐沢俊一氏の「タモリ」ポスト:ロマン優光連載256

連載
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あの写真の男性がタモリ氏であると書かれたものをネットのどっかで見つけて裏取りをしないままにそう信じてしまったのだろう。プロの文筆業の人としてはうかつな話だが、人間誰しもうっかりということはある。自分だって当然やらかすことはある。

この文章が恥ずかしいのは、「人間、やはり売れる前と後では顔が変わるねえ」という気のきいた風な持論を加えて、人々を感心させてやろうとしたのに、男性がタモリ氏であるという大前提が崩れてしまい、騙されてるのに、格好つけて間抜けなことを言っている人みたいになってしまったことである。格安ワインを年代ものの貴重なワインであると騙されて飲まされているのに、それに気づかずにウンチクをたれている食通の人みたいな滑稽さが生まれてしまったのだ。落語の酢豆腐の若旦那のようでもある。

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また、見てる方が赤面してしまうような共感性羞恥をよぶ元ポストとは別に、読んでいて怖くなってしまった発言もある。元ポストに寄せられたリプに対する返答である。

まだその前、パブで芸をやっていた頃ですね。30になっても売れず、九州に帰ることを考えていた矢先に赤塚不二夫に見いだされ、赤塚氏の出ているテレビに押し込んでネタをやらせたことでブレイクしました。

山下洋輔トリオが九州でライブをやったときの打ち上げに乱入してきた見知らぬ素人・モリタ氏。彼があまりにも面白かったので評判になり、それが赤塚不二夫氏の耳にも入り、モリタ氏を東京に招いたところ、やはりあまりに面白かった。

なので彼に東京に居てもらうために赤塚氏のマンションに住まわせ、赤塚氏たちが本格的に芸能界に売り込む。その結果、テレビの大スター・タモリが誕生、偉大なる素人が運命のイタズラでテレビのスターになる。これが多くの人が認識しているタモリ・ヒストリーである。

知る人ぞ知るみたいな話でもなく、多くの媒体で紹介されてきた有名な話であり、若い人ならともかく、ある年齢以上の人であれば広く知られた話である。

しかし、唐沢氏のポストで書かれていることはこれとは違う話だ。タモリ氏に芸人としての下積み時代があったとは…。もし、これが事実ならタモリ史がひっくり返ってしまう。まあ、そんなことが起こることはないのだが。

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唐沢氏がこの話を知らないということはないと思う。どんなにそのトリビアにガセが含まれていようと、このレベルの有名な話を知らなかったということはさすがにないだろう。本来、その話を知ってるはずであろう人間が、全く違う話を本当であるかのように語り、自分でも信じているようにみえる。

これは本当に恐ろしい状況だ。唐沢氏の個人的な問題なのか、加齢の影響なのかはわからない。加齢の影響だとしたら、自分もああいう風になる可能性があり、本当に怖くなってしまう。

年齢による記憶力の衰えは誰もが避けられないことである。それなのに、自分の記憶力に自信を持ちすぎていると、自信満々で間違ったことを言っているのに気づかないことにもなりかねない。そうはならないように気をつけて、自分の記憶を疑っていかなければならないのではないだろうか。

まあ、よく考えると、昔から唐沢氏はさすがに知ってるであろうことについても変な発言をしているときもあり、氏の個人的な資質の問題が大きい可能性もある。よく思い出したり確認をしたりもせず、その場のノリとウケ狙い重視で話をしたり、書いたりしているから、ああなるのかもしれない。

なんであれ、確認は大事ということであり、自分も気をつけなければならないなと思う。

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