PR
PR

『クローズ』『WORST』の続編が!:ロマン優光連載367

連載
連載
PR
PR
PR
PR

367回 『クローズ』『WORST』の続編が!

「『クローズ』『WORST』の続編が来年から始まるみたいなんで、それで」という注文が編集氏から届き、初めてそれを知ったわけだが、『WORST』が終わってから、もう12年になるのだなとしみじみ思った。

高橋ヒロシの手によって漫画『クローズ』の連載が始まったのは1990年。ある地方都市(当初は名前が明記されてなかったが、後に『WORST』で戸亜留市という名称がつけられる)を舞台にエクストリームな不良高校・鈴蘭男子高校に転校してきた風来坊・坊屋春道を中心とした様々なキャラクターが織りなす喧嘩と友情の物語が描かれた作品だ。

『クローズ』に端を発する『クローズ』シリーズは不良漫画のビッグネームであり、秋田書店の金看板の一つである。高橋自身による『クローズ』、その続編『WORST』、いくつかの外伝以外にも、他の作家の手による様々な外伝漫画が誕生。漫画だけにとどまらず、『クローズ』の設定をもとにオリジナルストーリーで鈴蘭の別の時代を描いた映画『クローズZERO』シリーズ、映画『HiGH&LOW』シリーズとのコラボ作品である『HiGH&LOW THE WORST』『HiGH&LOW THE WORST X』といった作品が生まれ、その広がりは『クローズ』サーガというか、不良漫画界のクトゥルフ神話といった趣さえある。

念のため言っておくと、クトゥルフ神話といっても『クローズ』シリーズがコズミックホラーとかいうことではなく、一人の作家が生み出した物語をもとに、多くの作家が新たな物語を書き継いでいることなので、「邪神なんて出てこないよ!」という苦情は遠慮していただきたい。

PR

不良漫画の歴史の中で『クローズ』はエポックメーキング的な作品である。

1968年の『男一匹ガキ大将』(本宮ひろし)はそれまで「学園漫画」のサブジャンルでしかなかった番長ものをスケールアップすることで「番長漫画」というジャンルを成立させた。これが現在の不良漫画の先祖にあたる。

作品内のリアリティラインを現実に大幅に近づけ、より読者にとって身近な世界を描いた1982年に始まった『湘南爆走族』(吉田聡)、1983年に始まった『ビー・バップ・ハイスクール』(きうちかずひろ)の登場は、荒唐無稽な「番長漫画」を結果的に駆逐し、「暴走族漫画・ヤンキー漫画」というものを成立させた。現代的な不良漫画のひな型はこの時期に誕生した。

『クローズ』はそれらの先達に並べても引けを取らないぐらい、ジャンルに多大な影響を与えた作品だ。『クローズ』以前と『クローズ』以降では不良漫画のスタイルに明確な違いが生じたのではないだろうか。

タイトルとURLをコピーしました