58本目・『0課の女 赤い手錠』その第七回
この映画における三原葉子は悪い言葉になってしまうが『くそばばあ』である。
言葉が悪すぎたら『いじわるおばさん』だ。
実際には三原葉子さん、当時まだそれほどの歳ではない。ふっくらぽっちゃりしているが若い。おそらくこれでやわらかい表情をしていたらむしろ実年齢より若く見えるのではないか。役を離れたらそんなかんじだったのではないか。ふだんはきれいな人だったはず。当たり前のことを記しているのですが。
でもこの映画の三原葉子はひどい!
くそばばあである。
いじわるばあさんである。
出番は二度。
若い女性を誘拐して鬼畜そのものの行為を展開する極悪非道、いずれは処刑抹殺されて当然のゴミクズチーム(郷鍈治、荒木一郎、遠藤征慈、菅野直之、小原秀明)の協力者として。これが出番のメイン。ラーメン丼を持ったままうろうろしながら食べて食べながら顔を歪めて主人公の杉本美樹をねちねちいじめたり窮地に陥れたりあげくのはてには性欲のターゲットとして肉体を狙う。見ていて好感を持つ人は三千世界のどこにもいないだろう。近親者が見たらつらくなるのではないか。監督の野田幸男を憎むかもしれない。いくらお金がもらえるからと、こんな仕事やめておくれ。ステレオタイプのお母さんだったらそう言うだろう。
その前の出番はタイトルバック。
導入の物語のあと主人公の杉本美樹が監獄に放り込まれる。『0課の女 赤い手錠』のタイトルが登場して主題歌に載せてスタッフ、キャストが紹介される。そのバックで展開される檻の中、杉本美樹に対する壮絶なリンチ。その先導者にして主犯が三原葉子である。
引いたカメラが対象の女囚たちのうごめきを全体的にフォローする。堕ちた、その感じを出すためである。
その獄舎のなか、スターだから当然アップで登場する三原葉子。この映画に於ける三原葉子のファーストカットだ。