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67本目・『夕陽のギャングたち』杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載138

連載
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67本目・『夕陽のギャングたち』

現在、公式YouTubeでこの映画が無料公開されている。
長い映画である。
2時間40分ぐらいある。
登場人物は多いが主な登場人物はふたり。
泥棒と爆弾魔だ。
おっさんとおっさんである。
泥棒は汚い。なんといっても彼の立ち小便、そのドアップから物語は始まる。小便が自分のはだしの足にもびちゃびちゃ飛び散っている。
演じているのはロッド・スタイガー。Jが初めて見た彼は世界的な名作映画の中でまだ恋をしたことのない少女の唇をいきなり奪った。金持ちの男であった。高級レストランに彼女を連れて行ったりしてた。キザな顔、表情をしていた。
だが、それはそういう役であった。
この映画では小便でびしょびしょの汚ないおっさんだった。
そのおっさんが出会うのが爆弾魔である。
どうやら活動家である。そして過去につらいことがあったみたいだ。女性もからんだつらいことだ。
回想シーンがなんども出てくる。
なんども出てくるがはっきりなにがあったかはわからない。
たいせつな思い出はわかってもらおうとしないほうがいい。
ましてや恋愛がらみの場合は。
死ぬまで自分だけの思い出でいい。
孤独とか孤独じゃないとかそんな難しいことじゃないんだ。
好きなひととのたいせつな思い出は自分にしかわからない。
はっきりなにがあったかわからないまま、2時間40分ぐらいある長い物語は終わる。
その悲しさはなんだ。
ひとり残されたロッド・スタイガーは私だ。私であり、あなたである。
モリコーネの美しい音楽が回想シーンを彩る。
私にも。
あなたにも。
思い出がある。
だがその思い出はいつかなくなる。死んだらなくなる。
そのせつなさ。
悲しさ。
やりきれなさ。
人間と人間の出会いも。
すべて消えていく。
だからいま。
いま、この瞬間の。
よろこび。
たのしさ。
酔いしれたい。
いまなら無料で見ることができます。ロッド・スタイガー、ジェームズ・コバーン、いい顔してます。いい表情してます。おすすめです。
(この項、おわり)

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『夕陽のギャングたち』(1971年・イタリア、スペイン、アメリカ合作)

出演/ロッド・スタイガー(富田耕生)、ジェームズ・コバーン(小林清志)
脚本/ルチアノ・ヴィンセンツォーニ、セルジオ・レオーネ、セルジオ・ドナティ
撮影/ジュゼッペ・ルゾリーニ
音楽/エンニオ・モリコーネ
配給/ユナイテッド・アーティスツ
監督/セルジオ・レオーネ

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PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OOKAMINOHAKABA

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