58本目・『0課の女 赤い手錠』その第三回
丹波哲郎演ずる次期総理大臣と言われる男。その娘を演じたのが岸ひろみである。
美人である。
少女漫画の主人公のような整った顔立ちだ。
水原麻紀の系統だろうか。
いまでいえば乃木坂にいそうな雰囲気である。
東映映画の中でもかなり美しい人だが私はこの人のことをよく知らない。
名前も知らなかった。
映画館で見ただけの頃は隅田和世と混同していた。隅田和世もすごい役をやったなー、ほんとかな、違うのかな、どうだろう……みたいにずっと思っていた。その後、ビデオが出て、家で何度も見てわかった。隅田和世ではなかった。すこし似てるが全然違った。冷たいムードが似ていたのと活動時期がこの映画の制作時期と同じだったので当てはめていたのだ。そう、たまたまだが隅田和代も1975年頃からあと、映画にもテレビにも出ていない。まったく見ていない。なんらかのことで引退したのであろう。
この、岸ひろみも、まったく見てない。この映画のあと、もしかしたら何本か出ているのかもしれないが一観客、一ドラマウォッチャーの私は名前も顔も見ていない。
私もなにからなにまで知っているわけではないし研究者というよりは一観客に近い。このあいだ高橋源一郎さんにお会いしたとき、源一郎さんは私のことをヤクザ映画、ある一時期の東映映画の権威として扱ってくれたが、実際そこまでではない。