2022年12月以降、体調不良のためドラマなどを降板し、無期限休養に入っていた俳優の神尾楓珠くんが、4月22日に放送されたバラエティ番組『サスティな!〜こんなとこにもSDGs〜』から復帰。一方で、現在『どうする家康』『特捜9』『ペンディングトレインー8時23分、明日 君と』と、ドラマ3本掛け持ち中の山田裕貴くんが、「もうやだ」「理解者がいるか いないか」「僕らの生きてる意味は?」など、意味深なツイートをしており、山田くんのメンタルを心配する声が上がっているそう。
山田くん、もともと少し言動に不思議なところがあったので(そこが好き)、今回のツイートもその一種なのでは……? と思わないでもないけど、最近の山田くんの仕事っぷりがすさまじいのはたしか。ほぼ毎クール、ドラマを掛け持ちしているわよね。
しかも山田くん、結構しっかり役づくりするタイプのような気がするので、一つひとつの役としっかり向き合う時間がとれないのは、結構なストレスになるかもしれないわね……。
ほかにも、村上虹郎くんなど、やはり心身の不調で活動を休止する俳優さんが続出している今日この頃だけど……。「売れているもの、人気があるものばかりにみんなが殺到する」というこの社会の傾向、そろそろどうにかならないものかしら。
いや、今に始まったことでもなければ、日本に限ったことでもないのはわかっているのよ? ただ、近年は企業も「すでに完成している人材」ばかり採用したがるし、書籍の世界でも、フォロワー数の多いブロガーの本とかばかり出版したがる傾向があるのよね。
もちろん、資本主義社会である以上、ある程度そうなっていくのは仕方ないかもしれないけど、昔はもう少し社会の中に存在していた「新しい才能を発見して育てよう」とか「まだそれほど知られていない、素晴らしいものを見つけたい」という気概みたいなものが、どんどん失われているんじゃないかしら。
でも、それって、誰かが決めたこと、誰かが作ったものを、何の疑問も抱かずにただ受け入れ、消費しているだけだし、思考停止状態、選択の自由を手放している状態でもあるじゃない? 正直、すごく怖いことだし、どんどん自分たちの首を絞めて要るんじゃないかとアタシは思うのよ(ちなみに、「昔は良かった」とか言い出したらおしまいだってことも、十分わかってるわよ!)。
人気稼業の人にとって「売れっ子になる」「たくさん仕事がくる」のは嬉しいことだけど、本当はもっと長く活躍できるポテンシャルがある人が、一時期に一気に消費されて潰されてしまうのも、あまりにももったいなさすぎる。芸能界に限らず、どこの世界でも、一人ひとりがちゃんと大事にされるようになってほしいと、アタシは思っているわ。
<水曜日掲載>
PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001