昼間たかし(ひるま・たかし)
ルポライター。1975年岡山県生まれ。岡山県立金川高等学校・立正大学文学部史学科卒業。東京大学大学院情報学環教育部修了。知られざる文化や市井の人々の姿を描くため各地を旅しながら取材を続けている。著書に『コミックばかり読まないで』(イースト・プレス)『おもしろ県民論 岡山はすごいんじゃ!』(マイクロマガジン社)などがある。
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オタクから歓迎される高市政権
2025年10月21日、高市早苗政権が正式に発足した。この政権の経済安全保障担当大臣にかねてよりオタクであることを公言していた小野田紀美氏の入閣が発表されたことで、オタクたちは大いに沸いている。
ここに新政権に対する警戒心は微塵も感じられない。その理由は、総裁選直後の10月4日の『ラブひな』作者であり参議院議員の赤松健によるSNSでのポストである。
「高市候補からも『法律に違反していない限り、表現の自由はしっかり守っていく』とのお言葉を直接頂きました。しかし新総裁がそうでも周囲の議員も全てそうとは限りませんし、今後しっかり見張っていきたいと思います」
「表現の自由を守る」という言葉が、オタクたちに安心感を与えているのである。赤松健という「表現の自由戦士」が太鼓判を押したのだから、高市政権は味方だと。
なんと愚かなことだろう。
高市の批判者たちは、彼女を「右派」だの「極右」だのと呼んでいる。しかし、高市のような人物が21世紀の右翼だと聞いたら、頭山満も北一輝も驚いて墓からよみがえりそうだ。
その理由は、高市の徹底した軸のなさにある。女性の右派政治家ということで、なぜか高市と似たもの扱いされているフランスのマリーヌ・ル・ペンは「EUからの文化的自立」という明確な志向を持つ。イタリアのジョルジャ・メローニは「神・祖国・家族」という古典的な右派思想を掲げている。要するに、ル・ペンにもメローニにも右派としての信念がある。
しかし、高市にはなんら信念がない。難民排斥も、家族観も、経済安保も、どれもネット民が拍手してくれそうなネタを「正論風」に並べているにすぎない。外国人問題やSNSでバズる「保守っぽい話題」を拾っているだけだ。要するに、ネット上で話題になりやすい「保守的な論調」を次々と拾い上げ、支持を集めることだけに腐心する、軸のない政治家なのである。高市の政治手法は、一貫してネット世論からの承認を求めるものだ。「正論」風の発言で拍手を浴び、支持を集める。その承認欲求こそが、彼女の政治的原動力なのである。

極右と評されることが多いイタリアのジョルジャ・メローニ首相。
「欲望を持つこと自体が悪」
2008年、児童ポルノ禁止法改正問題が議論されていた当時、筆者は高市議員に質問書を送付した。その回答が今も手元に残っている。
「児童ポルノの単純所持禁止について賛成ですか、反対ですか?」
高市の回答は明快だった。
「賛成」
その理由として、高市はこう記している。
