PR
PR

「このバトル漫画がとんでもない」ロマン優光のTOP3

エンタメ
エンタメマンガ
PR
PR
「バトル漫画って戦ってばかりで、ストーリーなんてないに等しいんでしょ〜?」……その通り! 脳みそからっぽでも読み進められるバトル漫画の魅力を、大いに語っていただきました。今回はロマン優光さん。

「このバトル漫画がとんでもない」劇画狼のTOP3
「このバトル漫画がとんでもない」DATゾイドのTOP3
「このバトル漫画がとんでもない」植地毅のTOP3
「このバトル漫画がとんでもない」白正男のTOP3

PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
1972年生まれ。高知県出身。「ロマンポルシェ。」のディレイ担当。ソロのパンク・ロック・ユニット「プンクボイ」としても活動している。近著に『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』など。
X:@punkuboizz

PR
PR

奇抜な技とバトルの勝敗だけがそこにある

バトル漫画とはなにか。バトル漫画というからには「戦闘(バトル)」が描かれた漫画であることは間違いない。格闘。喧嘩。戦闘。何かそういったシーンが存在するからといって、それが必ずしもバトル漫画ということにはならない。また、「戦闘(バトル)」の題材も必ずしも暴力とは限らず、スポ—ツ、ゲーム、詐欺、料理、ギャンブルなど多岐にわたる。特に料理漫画はバトル漫画の宝庫であり、『包丁人味平』(原作:牛次郎・作画:ビッグ錠)はバトル漫画の古典の一つだ。

高橋ヒロシの『クローズ』『WORST』と田中宏の『莫逆家族』『女神の鬼』。双方ともヤンキー、不良の世界を舞台に暴力で相手を制圧する戦いが描かれているが、前者はバトル漫画であるが、後者はバトル漫画ではない。前者が自分はかめはめ波を出すことができないことに気付いた者たちに向けた、現実的にありえるかもしれない設定の中で「どちらが強いのか」を描いていくことが主軸に据えられた作品であり、後者は社会から逸脱していかざるをえない異常者の姿を不良の世界を舞台に描こうとする作品。不良同士の争い自体を描こうとしているのか、不良同士の争いを通して他のテーマを描こうとしているかの明確な違いがある。

PR

同じように、バトルシーンが含まれていても『釣りバカ大将』(桜多吾作)はバトル漫画だが『釣りキチ三平』(矢口高雄)はバトル漫画ではないし、『鉄鍋のジャン!』(西条真二)はバトル漫画だが『美味しんぼ』(原作:雁屋哲 作画:花咲アキラ)はバトル漫画ではない。作者がバトルを通して訴えるちゃんとしたテーマが存在するものはバトル漫画ではないのだ。

バトル漫画とは「バトル」自体を描くことを目的とした漫画であり、そのバトルが生じる背景として、不良校の覇権争いから零細飲食店の立て直し、果ては宇宙の存続をかけた戦いまで様々な理由付がなされ、バトルの題材も様々だが、その設定自体はバトル成立のためのガジェットにすぎず、大した意味はない。いや、そこに深い意味があるようではバトル漫画にならない。バトル漫画にとってテーマとかそういうものは不純なものであり、極論で言えば、勝とうが負けようがどうでもいい理由で戦えば戦うほど、バトル漫画としては純化されていく。

タイトルとURLをコピーしました