そのため自衛隊では高等教育によって培われる類の知性が軽視され、常識や専門知識を学ぼうとする意識の高い隊員はパージされる。重用されるのは先輩の命令に何も考えず従い、平気で他人に暴力を振るえる隊員たちなのだ。
だからこそ、自衛隊では時代錯誤で非科学的な「精神論」「根性論」が何より重要視されるのである。精神論を振りかざすDQNが自衛隊内にどんどん増殖したことにより、セクハラなどの事件が次々に起きているのである。
ブラック企業と自衛隊の共通点
しかも、たちが悪いことに、いまやこうした体質は自衛隊特有のものではなくなりつつある。
たとえば、そのわかりやすい例が三井物産や野村證券に代表される軍隊的な社風の企業、そして社会にあふれるブラック企業だ。
ブラック企業には具体性や論理的といった言葉はなく、とにかく「気合」「根性」「必死」といったワードで従業員を追い込む。
精神論を振りかざす会社にいると、次第に論理的思考ができなくなり、閉鎖的な空間のなかで上司の命令だけに従うようになる。極端な話、犯罪に近い行為も平気で行うようになっていくという。これは自衛隊で行われていることとまったく同じだ。
さらに、スポーツ教育の世界にも自衛隊的な体質が色濃く滲むジャンルが非常に多い。その代表はなんといっても高校野球だろう。
高校野球の指導方法は自衛隊で上官がやっているやり方と何ひとつ変わらない。技術論より精神論で球児たちを追い込み、意味もなく長時間ランニングをさせたあげく水も飲ませないのである。
また、甲子園の開会式では、丸刈り頭の少年たちが指先までピンと伸ばした両手を前方約45度の高さに振り上げ、膝を曲げた腿を90度に上げて歩くが、これは完全に軍隊式の行進だ。
選手宣誓のときの直立不動の姿勢や、顎を突き出して大声で叫ぶように声を張り上げるのも自衛隊でよく見られるシーンである。
そして、この甲子園の開会式で繰り広げられる軍隊的な光景をおぞましいと思わず「球児らしい爽やかさ」ともてはやしているのが大多数の日本国民だ。
もっとも、いくら自衛隊がDQNの集まるトンデモ組織だとしても、共産党のように「違憲だから廃止しろ」と言うわけにもいかない。非武装中立というのはファンタジーで、現実的に考えるとやっぱり軍隊は必要だからだ。その意味でも、本当に自衛隊というのは困った連中なのである。
写真/Wikipediaより(撮影/100yen ※モザイクは当サイトによる加工)