七夕決戦を迎える東京都知事選挙。そこに電撃出馬を表明したのが立憲民主党の蓮舫だ。反自民、非小池を掲げる一方、小池知事はクールな姿勢を崩さない。東京という独特な選挙区において、彼女たちの狙いやいかに。都知事選の舞台裏に迫る。※本記事は6月14日発売の実話BUNKAタブー2024年8月号に掲載されたものです。
都知事選は「宇宙人を相手にしているようなもの」
「完全防備のマンションだから中に誰が住んでいるかも分からない。宇宙人を相手にしているようなもの」
このセリフは、かつて自民党国会議員の大御所OBの亀井静香氏が東京都での選挙戦の難しさを語ったものだ。
7月7日投開票の東京都知事選挙まで、あとわずか1カ月にも関わらず、候補者は後出しジャンケンを競うようになかなか出揃わない。実はそこには東京都ならではの選挙土壌、特性がある。
本来、首長選挙であれば早い段階で出馬表明し、具体的なビジョンを示して有権者に判断してもらうのが通例だが、東京都に限ってはそれが通用しない。その背景にあるのは人口流動性が日本一高いことだ。
たとえば、東京の大企業で働く人は一般的に約3年周期で転勤などがあり、大学生は4年で卒業、就職で引っ越す人も多い。「23区の駅周辺の地域などによっては、4年間で半分もの住民が入れ替わるところもある」(東京都選管)と言われるほどだ。
すると、候補者が何年後に東京の街をどうするとか、どんなにビジョンを語っても流動人口の有権者にしてみれば「どうせいなくなるから自分に関係ない」と興味を示さず、目の前の争点に着目しがちになるのだ。
「(有権者は)いまの政治全般の話題を争点にする。今なら裏金問題。選ぶときには知名度や候補のインパクトにも目がいく。つまり、地方選挙なのに、中央の政治課題や知名度で投票する傾向が強い」(自民党選対幹部)
さらに東京は全国で最も「無党派層」が多く、『風』が吹きやすい。