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生き急いでいるように見えて堅実だったマドンナという生き方:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載472

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 6月28日、言わずと知れたアメリカの大スター・マドンナのマネージャーが、インスタグラムで「マドンナが細菌感染で集中治療室に緊急搬送された」「完全に回復するまでワールドツアーを延期する」と公表したというニュース、みなさんはご存じかしら。

第一報を聞いたときは、「え? 今まで体調不良だったことなど一度もなく、不死身だと思っていた(あくまでもイメージ)マドンナが集中治療室?」とびっくりしたけど、29日の報道で、すでに退院し回復しつつあると知って、ひと安心。と同時に、改めて「集中治療室に入っておきながらすでに回復って、さすがマドンナ」と感心したわ。

ちなみに、アタシが本格的にマドンナを聴くようになったのは、大学生になりゲイの友だちができてから。洋の東西を問わず、当時のゲイの間で、マドンナは絶大な人気を誇っていて、クラブのゲイナイトでは必ずマドンナの曲がかかっていたし、周りにもマドンナファンの友だちがたくさんいたのよね。

ゲイって、ゲイフレンドリーな女性や、何かしら飛びぬけたところのある女性を好む傾向が強いんだけど、マドンナはその両方を兼ね備えた存在。今から40年前のアメリカで、「自分はバイセクシュアルだ」と公言し、ゲイのクラブイベントに足しげく通い、ゲイのダンサーをどんどん起用。それと同時に、「性的なことを前面に押し出した楽曲やパフォーマンスを披露する」「クリスチャンでありながらMVで十字架を燃やしてみせる」など、世間でタブーとされていることに挑み、「当たり前」とされていることに疑問を突きつける。本当に面白くて刺激的で目が離せなかったわ。

もっとも、当時のアタシは、お嬢様的だったホイットニーあたりと比較して、マドンナのことを「生き急いでる人」というイメージでとらえていたの。ところが実際には、薬物と男で身を持ち崩し、早逝したのはホイットニーのほう。マドンナは、年齢を重ね、一時期の勢いが衰えてからも、定期的にアルバムを出して世界を回り、積極的に若手とコラボし、私生活では二度の結婚を経て、養子含め6人の子どもを育ててる。体型もずっと安定しているし、ジャネット・ジャクソンやマライア・キャリーなど、あの時代のほかのディーバたちと比べても、もっとも堅実なのよね。昔のアタシ、本当に人を見る目がなかったわ……。マドンナの生き方、見習うべき点が多すぎる。

ただ、今回は大事には至らなかったけど、マドンナももう64歳。いつ何が起きるかわからないので、もう一度くらいライブに足を運んでおきたいわ。円安のせいか、今年のワールドツアーに日本は入っていないみたいだけど(円高の頃はあんなに日本に来てくれて、焼酎のCMにまで出演していたのに……)、ぜひまた来日してくれることを願っているわ!

 

<水曜日掲載>
写真/Wikipediaより(撮影/chrisweger)

PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001

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