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ファンのスマホで自撮りしたジャニーズのファンサービスは行き過ぎなのか?:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載475

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第475回 ファンのスマホで自撮りしたジャニーズのファンサービスは行き過ぎなのか?

7月16日から東西ジャニーズJr.総勢約200人が出演する『ALL Johnnys’ Jr. 2023 わっしょいCAMP! in Dome』がスタート。KAT-TUNの亀梨和也くんが演出を担当したこのコンサートで、ジャニーズのコンサート史上初めて、アンコールの場面に限って観客による撮影とSNS拡散が許されたことが話題に。

さらに、「美 少年」や「HiHi Jets」などの一部のメンバーが、ステージから下りてファンのスマートフォンを預かり、一緒に自撮りするというファンサービスまで実施。喜ぶファンがいる一方で、「自撮りファンサしてもらった人以外誰も幸せになってない」「ジャニーズは手が届かないところがよかったのに……下界に降りないで」「K-POPとかでよく見るけどアリーナの料金高くなってるからわかる、これならジャニーズも席の料金変えて」「遠い席にファンサしろよ、同じチケット料金なのに不公平すぎる」といった声も上がったそう。それを受けて、翌日の公演では、自撮りファンサを行ったメンバーらが「もう2度と自撮りはしません!」と叫んで土下座する一幕もあったみたい。

たしかに、今回たまたま席が遠くて、そうしたファンサを受けられない人が悔しく思う気持ちはわかるけど……。このサービスが定着したら、いずれ自分も推しと一緒に自撮りできる可能性があるわけじゃない? そして、いざ自撮りできたら、今批判している人も、おそらく「このファンサがあってよかった」と思うはず。

これは、国の制度なんかでもそうなんだけど、「今、自分が恩恵を受けられない」「今、自分に必要がない」からといって、新しい試みに文句を言い、ダメにしちまうのって、あまりにも近視眼的だし、誰にとっても不幸な結果にしかならないと思うの。何事においても、一人ひとりが「もしかしたらいつか自分も恩恵を受けるかもしれない」「もしかしたらいつか自分にも必要になるかもしれない」と考えることで、より多くの人にとって住みよい社会ができあがっていくんじゃないかしら……。って、なんの話や。

それから、「ジャニーズは手が届かないところがよかったのに」という意見もわかるけど、ジャニー喜多川氏による性加害問題で国連人権理事会が来日し聞き取り調査を開始するなど、今まさに大揺れのジャニーズ事務所だけに、「今までと同じではいられない」という危機感があるんじゃないかしら。なので、特に熱烈なジャニーズファンというわけでもないアタシとしては、こうした変化が起こるのは仕方がないと思っているの……。あと、変化ついでに、肖像権の管理が厳しすぎて、ウェブサイトとか雑誌とかで「ジャニーズ事務所のタレントさんだけイラストになる」みたいな状態がもう少し緩和されるといいなと、ひそかに期待しているわ。

 

<水曜日掲載>

PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001

 

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