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りゅうちぇるの自殺の原因を推測することの恐ろしさ:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載474

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 7月12日夕方、渋谷区の事務所内で亡くなっているところを発見された、タレントのりゅうちぇるさん。

ここ数年、東京レインボープライド(東京で毎年行われているセクシュアルマイノリティのパレード)に何らかの形でりゅうちぇるさんが出演されていたこと、TBSラジオ『LOVE RAINBOW TRAIN』で、MISIAさん&八方不美人の後にパーソナリティを務めたのがりゅうちぇるさん&ドリアン・ロロブリジーダだったことから、アタシは何度かお会いしたことがあり、ほんの4か月前にもお食事をご一緒したばかり。なので、「亡くなった」と聞いても、まだ現実味がないわ……。

そして今回の件、考えさせられることがたくさんあったわ。

たとえば、自ら死を選んだ理由について、ネットやメディアなどでいろいろなことが言われているけど、遺書がない以上、誹謗中傷によるダメージのせいなのか、将来への不安があったのか、心身のバランスが崩れていたせいなのか、それともまったく違う理由なのか、真実は誰にもわからないのよね。

生前、りゅうちぇるさんがさまざまな誹謗中傷を受けていたのは間違いないし、実在する他者に向かって「死ね」という言葉を投げつけるのは絶対にやめたほうがいいとアタシは思うけど(その言葉は言われた相手はもちろん、口にした人にとっても呪いになる恐れがあるから)、亡くなられた原因を勝手に断定したうえで他者(今回の場合、誹謗中傷をしていた人)を攻撃するのも少し危険だとアタシは感じているの。

あと、亡くなり方や亡くなったタイミングに関しても、人によっていろいろな意見があるだろうけど……。それぞれの考えは、できれば自分の中に秘めておくか、本当に気心の知れた人だけに伝わるようにしてほしいな……とアタシは勝手に思っているわ。どのような意見であっても、それが目や耳に入ったら、ご遺族はもちろん、同じような形で親しい人を亡くされた方も、辛い思いをされるかもしれないから。

アタシ自身、もしかしたらこれまでSNSやコラムで、誰かに辛い思いをさせるようなことを書いてしまっているかもしれない。「ご本人や近しい人の目に入るかもしれない」ということを常に念頭に置いて発信しなきゃいけないな、と今回改めて思ったわ。

そして、りゅうちぇるさんのご冥福と、ぺこさんとお子さんができるだけネガティブな感情にとらわれずに生きていかれることを、心から祈っているわ……。

 

<水曜日掲載>

PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001

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