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痛風がムカつく!:箕輪厚介「今月これにムカついた」 連載5

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もちろん面と向かってブスと言ったり、政治家が失言で叩かれるのは、しょうがないけれど、どこかで許される部分が残っていた方が世の中健全だと思う。全部をキレイにした方が不健全。実際には、居酒屋とかで「あいつブスだった」と言う人はたくさんいるし。世の中からブスっていう概念が消えるのならまだしも、感情が変わっていないのに言葉だけが消えても、発散どころがなくなり、逆に気持ちの悪い世の中になる気しかしない。

これは珍しくムカつかないことだけど、よく「人身事故がムカつく」って言う人がいるが僕は賛同できない。人が死んでるわけだから「可哀相だな」という感情が先に立つ。

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前の会社で、フツーの女性社員が人身事故で遅れて、相当仕事が忙しかったらしく、会社に来るなり「違うところで死んでほしい」と言ったのを訊いた時も「オイオイ、人が死んでるんだぞ」と思った。SNSでも「迷惑かけて死ぬな」っていう意見を目にするが賛同できない。もし自分が乗車しようとしてたタクシーが人を轢いた時に、「早く掃除して乗せてくれ」なんて言う人はいないだろうに、なぜ人身事故だけ騒ぐのか。

その時だけリアリティがなくなるのは本当に不思議だ。

「迷惑かけずに勝手に死ねばいいのに」と言う人は多いが、この社会に絶望して自殺するならば、死ぬ時ぐらいは少しくらい迷惑かけたっていいんじゃないかな。

その気持ちはわからなくもないよ。「自殺する」ってただ騒ぐのはウザいけど、本当に死んじゃう人はめっちゃ可哀相だと思う。「早く電車動かせよ」って気持ちもわかるが、「人が死んだのか…」と思ったら、全然耐えられるはずだ。

 

イラスト/中学生・永字八法
初出/実話BUNKAタブー2023年10月号

PROFILE:
箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
1985年東京都生まれ、早稲田大学卒。2010年双葉社に入社。広告営業などに携わった後、編集部へ。『たった一人の熱狂』見城徹/『逆転の仕事論』堀江貴文などを手がける。2015年幻冬舎に入社、書籍レーベル「NewsPicksBook」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』堀江貴文、『日本再興戦略』落合陽一、2019年に一番売れたビジネス書『メモの魔力』前田裕二など次々とベストセラーを手がける。自著『死ぬこと以外かすり傷』は14万部を突破。クラウドファンディングにて1000万円を集め、雑誌『サウナランド』創刊。様々なブランドとコラボレーションをおこなったり、各地でサウナランドフェスを開催。2021年のSaunner of the Yearを受賞。

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