4月3日からスタートした、連続テレビ小説『らんまん』、みなさんはご覧になっているかしら?
『らんまん』は、「日本の植物学の父」ともいわれる植物学者・牧野富太郎博士を主人公のモデルとする物語。正直、第1週目を観た段階では、「丁寧な作りで好感が持てるものの、ちょっと地味かな」とも思ったんだけど、第2週目からはいろいろと動きが出てきて、先の展開が楽しみになってきたわ。特にポイントが高いのが、主人公が無類の植物好きであることがしっかり描かれている点。『カーネーション』もそうだったけど、「子どもの頃からずっと、何かを好きでたまらない主人公」を描いた朝ドラは面白いものになる確率が高いのよね。
ちなみに牧野富太郎といえば、アタシにはちょっと苦い思い出があるの。今から45年前、小学校に入学したときのこと。お祝いに親戚の誰かから、結構な額の図書券をもらい、本(特に物語系)が好きだったアタシは「何を買おうかなァ」とワクワクしていたんだけど、何となく母に説得されて、欲しくもなんともない『牧野富太郎植物記』(あかね書房)全8巻を買うことになっちまったのよ。
母は植物好きだったので、それを機に子どもにも植物に興味を持ってほしかったのかもしれない(あるいは、単に自分が読みたかったのかもしれない)けど、アタシ自身は結局、1ページも読まないまま実家を離れることに。でも、今回の朝ドラで牧野博士に興味を持ったら、今度実家に帰ったとき、ついに初めて読むことになるかも……!
もっとも、これまで何度か書いてきたように、朝ドラって「子役時代~最初の数週間が一番よかった」という結果になることがしばしばあるので、今後どんどん面白くなっていくこと、そしてアタシが45年の時を経て『牧野富太郎植物記』を読む日が来ることを願っているわ。
一方で、この春からBSPでは『あまちゃん』の再放送がスタート。アタシも10年ぶりに観ているけど、やっぱり面白い……。そして同時に、当時つきあっていた人のことを思い出したり、「能年玲奈(のん)ちゃん、やっぱりキラキラしてるなァ。この後、いろいろなことがあったけど、また少しずつ活躍の場が増えてきて良かったなァ」とか「10年前は、毎朝種市先輩(福士蒼汰くん)にときめいてたなァ(以後しばらく、アタシの中で福士くんブームが続いた)」といった思いが頭をよぎったりして、なんだか切なくなるの。
というわけでこれから半年間、『らんまん』と『あまちゃん』をダブルで楽しむわ!
<水曜日掲載>
写真/『らんまん』メインビジュアル
PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001