杉田氏の書いた「公」に伊藤博文に対する敬意がこめられており、能川氏に対して反論したいのなら、若い頃にテロ行為に関与していたとしても当時の歴史的な状況を考慮したり、その後の偉業も考えると何の問題もないという話をし、その上であげあし取りではないかと能川氏に指摘するのがいいのではないだろうか。
しかし、実際には論点がズレたような、よくわからない発言をしただけである。自身のあからさまな差別発言をあれは差別ではないという「弁明」を繰り返している杉田氏であるから、伊藤博文のテロはテロではないということかもしれないが。そうだとするなら、そんな話は無理というものである。
杉田氏は2016年に発売された作家・河添恵子氏との共著『「歴史戦」はオンナの闘い』（株式会社ＰＨＰ研究所）の中で以下のような対話をしている。
河添 「日韓合意」がそのままでも、韓国側から破棄されても、ソウルの日本大使館前の慰安婦像は撤去されないでしょうね。そもそも大使館職員は毎日、気分が悪くないのかしらね？
ロシアのプーチン大統領なら、しれっとした顔で指示するはず。「撤去せよ」とね。それで誰かがある日、ブルドーザーか何か重機でガーッ、バーッと手荒に撤去しちゃう。
杉田 やりにいこうかな（笑）。アメリカもそうですが、慰安婦像を何個建ててもそこが爆破されるとなったら、もうそれ以上、建てようと思わない。建つたびに、一つひとつ爆破すればいい。
ロシアのプーチン大統領なら、しれっとした顔で指示するはず。「撤去せよ」とね。それで誰かがある日、ブルドーザーか何か重機でガーッ、バーッと手荒に撤去しちゃう。
杉田 やりにいこうかな（笑）。アメリカもそうですが、慰安婦像を何個建ててもそこが爆破されるとなったら、もうそれ以上、建てようと思わない。建つたびに、一つひとつ爆破すればいい。
これは慰安婦像に対する対策として、破壊すればいいと考えていると受け取れる発言である。これは慰安婦問題に対する見解に関係なく問題がある発言だ。慰安婦問題どうこう以前に、他者に権利があるものを勝手に破壊するのは法的に許されないことであるし、政治的な効果を狙っているのであればテロ行為にあたると考えることもできる。そういった話だと思う。（河添氏の発言からは独裁者プーチンに対する憧憬めいたものを感じて興味深い）。
