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伊藤博文はテロリストか:ロマン優光連載264

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単なる冗談であるという弁解をするにしろ、政治家としては許されない発言だといえる。時期的には議員落選期間中であり、人権侵犯であると啓発をうけた在日コリアンやアイヌに対する一連の発言がなされたのと同時期のものである。杉田氏的には、この時は一般人だったという弁明をまたするかもしれないが、議員を目指して政治的な活動をしていたのに無理がある。

これは以前から、宗教右派についての研究で知られる文化人類学者の山口智美氏などから問題であると指摘されていたもので、能川氏はこれを踏まえた上で杉田氏の「テロ」の理解をあぶり出すために、あの引用RPをしたという説明をしていたが、あれだけみたらよくわからないし、そういう意図は伝わらないとは思う。

結果的に杉田氏や杉田氏を支持する層の歴史認識のおかしさが炙り出されることになり、左派・リベラルがそれを指摘する流れになったわけだ。しかし、杉田氏に関しては政治家であり、ちゃんと指摘されるべきだが、氏にのっかってきた人たちのような、ああいうあからさまにダメすぎるものを叩くことで、ガス抜きになってしまうのだとしたらよくないなと思う。反対陣営に属する明らかにダメな人間を見つけてきてSNS上で叩いて仲間内で盛り上がる様子は、政治的なものだけではなく、どんな界隈でも見られるものだが、そういう消費のされ方をしているような気がする。

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杉田氏にのっかって騒いでいた人たちは政治について語るのに知識がなく、知識がない以前に他に色々と言動に問題があるわけだが、それはそれとして世間にどれだけ伊藤博文のやったことを知っている人間、幕末の志士の活動を把握している人間がいるのだろうか。多くの人が歴史に興味がなく、ああいったことについて知識がないということはあるのではないだろうか。維新の志士がテロリストであるという認識がある人はそんなにいないだろうし、権力側からのテロがあるということの認識もない人も多くいるだろう。それがわりと普通なのだと思う。

それは学校教育の問題であり、そういった部分で学校教育が機能していないことは非常によろしくないことだと思う。

 

〈金曜連載〉
写真/国立国会図書館 公式HPより

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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
twitter:@punkuboizz

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