主人公男子はそこそこの依存症だが諸事情でルートを失い、手軽に覚醒剤(※覚せい剤とひらがなで書くあれはどうかねえ、と、それはまた)が買えるときいた、とある地域の公園の50メートル離れた1泊2000円ほどの安いホテルに入る。
明るいうちに下見に行きこの便所の辺りに行けば手に入るとの噂に聞いた公園を下見に行く。
夜になって辺りを見回しながら公園へ向かうが気がせいてその手前の路上に立つ男から注射器つき1万円でとにかくパケに入った微量の粉を買う。
ちょっと足を延ばすと暗い公園では、トイレを囲むように沢山の男達がうじゃうじゃいて蠢いている。
男は「刑事たちだ!」と直感し恐怖におののきながらとりあえずホテルの逆方向へ歩きタクシーを止める。そしてホテルの逆方向へワンメーター行ったところで下車し、別のタクシーを止めまたちょっと走っては降りてとそれを繰り返したかだか50メートルしかないホテルに大まわりして戻るという話。その捕まるかもしれないという冷や汗と恐怖心を蛭子さんの絵でと考えた。
ちなみに夜の便所でうじゃうじゃいたかに見える男達は刑事ではなく、ハッテンバに集まる男達だったというオチ。
かようなストーリーをさあ描こうという時に依頼者側から、どうしても上の方から了解がおりずに今回はなしということで、とスミマセンの連絡がきた。
まだ、ネームもストーリーも一切伝えてないというのに。
やはり、人選が問題なのだろう。
そりゃ私と蛭子さんの共作による「ダメ。ゼッタイ」ものの漫画、んまあ客観的に見て企画というか人選の問題で「ダメ。ゼッタイ」だろう。
しかし、描いてみたかったなあ…。
最後の展覧会:根本敬の「蛭子能収タブーなし!但し『ぼぼ』は禁句」連載2
「最後の展覧会」終了:根本敬の「蛭子能収タブーなし!但し『ぼぼ』は禁句」連載3
PROFILE:
根本敬(ねもと・たかし)
特殊漫画家、エッセイスト。1981年に、『月間漫画ガロ』で漫画家デビュー。代表作に、漫画では『生きる』『怪人無礼講ララバイ』『龜ノ頭のスープ』、活字本では『因果鉄道の旅』『人生解毒波止場』など。