コドオジはコドオジを卒業する。自立する。そして親の介護を拒絶する。結婚をするためには、この選択肢しかないのだ。
アラフィフという年齢だけでも最悪なのに、さらにコドオジという最低スペックで、マザコンの疑いがあり、結婚の条件が自分の親との同居となると、もう手に負えない。そんな勘違いをしたまま死ぬまで婚活を続けても、相手にしてくれる女性が現れないのは間違いない。
最後に繰り返すが、コドオジがとるべき行動は一つ。すぐに実家を出て、親の介護を拒絶すること。マザコンで母親と離れるのが寂しくても、経済的に厳しくても、生活が厳しくても、実家を出て自立すること。コドオジから、一刻も早く卒業しないと結婚どころか大人としてのスタート地点にすら立てない。
享楽的に生きた親は、近いうちに死ぬ。もう死ぬ親より、これからの生活を一緒につくっていく、婚活で出会う結婚相手の女性のほうが大切な人だ。アラフィフの婚活男性は、これから探す結婚相手は親よりも大切な人、親よりも優先するべき人なのだという意識が絶対に必要なのだ。
文/中村淳彦
初出/実話BUNKAタブー2024年2月号
PROFILE:
中村淳彦(なかむら・あつひこ)
ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場でフィールドワークを行い、貧困化する日本の現実を可視化すべく執筆を続けている。49歳だった2020年9月に最悪な悪性腫瘍と言われる膠芽腫で妻を亡くし、悩んだ末にすぐに婚活を開始。2022年3月、婚活マッチングアプリで出会った同じ年齢のキャリアウーマンの女性と入籍する。代表作『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)は2019年本屋大賞ノンフィクション本大賞にノミネート、『東京貧困女子。‐貧困なんて他人事だと思ってた‐』として連続ドラマ化(主演・趣里)。『新型コロナと貧困女子』(宝島社新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『日本の風俗嬢』(新潮新書)、『女子大生風俗嬢』(朝日新聞出版)など著書多数。