だが北村和夫さんだけは違う。
なんか違う。
明らかになんていうのか、チャンネルが違う。位相が違う。
特別な味付け。特別な秘伝のレシピ。それを感じる。気のせいかもしれない。いや、そんなわけはない。なにか、ある。ものすごい剣豪のような凄まじさを感じる。気のせいだろうか。いや、そんなわけはない。わからない。演劇をしっかりとやってる人ならわかるのだろうか。
『神々の深き欲望』のときも。『俺たちの旅』『俺たちの勲章』のときも。『ちゅらさん』のときも。カメラのコマーシャルのときも。
いつも北村和夫さんはただごとではないぐらいにただごとである。
自己顕示欲のようなものは微塵も感じない。それは間違いない。俺が俺が、というのは微塵もない。
自己承認欲求地獄といわれる現代。
北村和夫さんが眩しいのはそのせいもある。
（この項終わり）
『野性の証明』（1978年・角川春樹事務所、日本ヘラルド、東映）
出演/高倉健、中野良子、薬師丸ひろ子、夏木勲（夏八木勲）、山本圭、芦田伸介、北林谷栄、舘ひろし、成田三樹夫、田中邦衛、大滝秀治、佐藤オリエ、島かおり、絵沢萌子、ジョー山中、寺田農、倉石功、三上真一郎、橘麻紀、鶴間エリ、市川好朗、近藤洋介、夏夕介、リチャード・アンダーソン、角川春樹、江角英明、近藤宏、田島義文、高野真二、榎木兵衛、庄司三郎、中井啓介、辻萬長、丹古母鬼馬二、内田昌宏、山本清、堀田真三、南条竜也、青木卓、剛達人、保科三良、伊東平山、山浦栄、木村修、亀山達也、滝沢双、五野上力、佐川二郎、清水照夫、鳥巣哲生、勝野賢三、永野明彦、中丸信、きくち英一、阿藤海、成瀬正孝、野口貴史、田口計（ナレーター）、丹波哲郎（特別出演）、金子信雄、渡辺文雄、桑山正一、殿山泰司、谷村昌彦、鈴木瑞穂、中丸忠雄、北村和夫、田村高廣、梅宮辰夫、ハナ肇、原田大二郎、松方弘樹、三国連太郎
製作/角川春樹
プロデューサー/坂上順、遠藤雅也、サイモン・ツェー、松田文夫
原作/森村誠一
脚本/高田宏治
撮影/姫田真左久
美術/徳田博
録音/紅谷愃一
照明/熊谷秀夫
助監督/葛井克亮
擬斗/伊藤浩市
テクニカルアドバイザー/四方義朗
編集/宮本信太郎
主題歌/町田義人
音楽監督補佐/鈴木清司
音楽監督/大野雄二
監督/佐藤純弥
※10月4日より、杉作さんの新刊『あーしはDJ』（イーストプレス）が発売されました！
＜隔週金曜日掲載＞
画像／『野性の証明』DVDパッケージ
PROFILE:
杉作J太郎（すぎさく・じぇいたろう）
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める（男の墓場改め）狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter：@OTOKONOHAKABA
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