もうおわかりだろう。この三大グル漫には、家族愛を優先するあまり「老化=寿命=死」という概念を無視する傾向を強く感じる。長寿バトル系作品では物語に緩急つけるカンフル剤として、定期的に投入される「キャラクターの死」という要素も、三大グル漫の物語においては不要。メインキャラは増える一方で、定期的なリストラで紙面を賑わす頻度が減っても、ほぼ死なない(一応『江戸前の旬』の初期に古老の親方が死ぬ話もあったが、登場の時点で死亡フラグが立っていたので例外とする)。
マンガ内の時間経過に疑問を持つのも無粋な話ではあるが、こうも長く連載が続くと気になってしまう。「京極さんや唐山陶人は一体何歳なんだ?」と読む度に考えるのだが、つまりはこの三大グル漫こそが「読む不老不死の長寿食」であり、「キャラクターの死別」という哀しみを消去した、ファンタジックな理想郷への到達点かもしれないとも思った。なので、三大グル漫の今後におかれましては、原作者が亡くなっても、まったく何事もなく連載継続してほしいと願う次第です。
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文/植地毅
画像/『クッキングパパ』(うえやまとち/講談社)
初出/『実話BUNKA超タブー』2024年11月号