PR
PR

2007年築の欠陥マンションが危ない

社会
社会
PR
PR

耐震スリットとは分譲マンションで主流の鉄筋コンクリート(RC)造において、地震の揺れで建物を損傷させないために柱と壁を構造的に切り離す2〜5センチ程度の隙間(スリット)だ。壁が揺れる力が柱に伝わらないようにするのが目的で、緩衝材の役割を果たす発泡ポリエチレンなどが使われる。95年の阪神淡路大震災以降、本格的に普及し、超高層など一部を除くほとんどの新築分譲マンションで採用されるようになった。

「現在の基準である新耐震基準(81年)では耐震スリットは明文化されているわけではありません。いくつかの地震被害を経て、耐震スリットは一般的なものになってきました。07年建築基準法改正のなかで耐震スリットの重要性が明示されたので、設計の際に、耐震スリットは標準的な設備になりました。しかし、現場が追い付いておらず、設置が不十分になっていることが多いのではないかと懸念されていた。不十分だからといって即耐震性がゼロとまでいえないが、今後の資産価値に影響を与えるだろう」(不動産業者)

PR

地震にもろい欠陥マンション

耐震スリットは震災時のたびにその必要性が注目された。

東日本大震災で耐震スリットが設置されていなかったマンションが倒壊し、欠陥工事が原因だとして、2012年、仙台市のマンションの管理組合(06年分譲、64戸)が施工会社などに損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こしたこともある。耐震スリットは地震が相次ぐ災害の時代のもはやマンションの必須の建築工法になっている。しかし、不慣れな工法と指摘する声も多い。

「建設コストを削減するために緩衝材に発泡ポリエチレンを使うことが多い。素材が軟らかいため柱や壁に生コンを流し込んだ際に圧力でねじれたり、倒れたりして、正規の位置から外れやすい。しかも現場ではコンクリートを入れる細かい作業は習慣がない。とくに大手デベロッパー・ゼネコンの販売したマンションは現場任せになっていた面がある」(不動産業者)

ここにきて地震が相次いで、耐震スリットの設置が不十分な欠陥マンションの発見が続出しているのだ。 6月に指摘され、補修工事が行われているのは準大手ゼネコンの前田建設工業が仙台市で施工したマンション1棟だ。マンションは22年3月の福島県沖地震で震度5強の揺れに遭った際、外壁の一部がはがれ落ち、耐震スリットが図面通りに入っていないことが発覚した。

さらに、同じ6月、大手ゼネコンの清水建設が仙台市中心部で施工したマンションに耐震スリットが1割しか入っていなかった問題も報道されている。『河北新報』7月13日付記事によると、清水建設の施工したマンションに入居したある世帯では21年、北側の部屋に「結露」のような現象が現れ、部屋がびしょぬれになったため、部屋の床のカーペットをはがすと、一面がカビだらけで真っ黒になっていた。清水建設の調査で、外壁のひび割れ部分から水が浸入していた漏水だったことが判明した。ひび割れは、地震が原因と推測されたが、地震でひび割れが生じる建物の「もろさ」の理由は耐震スリットにあったのではないかと指摘されている。

タイトルとURLをコピーしました