高騰が続く中古マンション
東京都内を中心にしたマンション価格の高騰が止まらない。9月に発表された土地取引の指標となる基準地価によれば住宅地(前年比4.6%で12年連続のプラス)は前年と比べ上昇し、上昇幅も拡大。地価の上昇に伴い、湾岸地域に集中するタワーマンションが高騰し、東京23区内の住宅価格に影響を及ぼしている。
さらに、建設業界の働き方改革などによって着工が遅れ、供給戸数は昨年比3割減に落ち込んでいる。新築の供給数が減ることに伴い、中古マンションの市場が大きくなり、23区は中古物件の価格も高い。調査機関の調査でも軒並み、23区にある家族向け中古マンションの2024年8月の平均売り出し価格は6000~7750万円の価格帯となっており、高い上昇率を維持している。株価の乱高下を受け、相対的に安定した現物資産である不動産に対する投資家需要も強まっている。
こうした注目の中古マンションを購入する際に注意が必要なのが、欠陥マンションの存在だ。 23年、JR九州など3社が販売したマンション「ベルヴィ香椎六番館(福岡市東区)」は、施工不良を理由に築25年で丸ごと建て替えられたことで大きな話題を呼んだ。
「同物件は1995年に竣工、引き渡しが行われた分譲マンションだが、2年も経たないうちに、外壁のひび割れや玄関扉の枠のゆがみなどが発生した。97年、管理組合として販売側へ問題提起したものの、施工会社と販売会社は構造物の瑕疵を否定。管理組合はその後も不具合を訴え続け、20年、日本建築検査研究所(東京都渋谷区)の調査により建物を支える基礎杭が支持層に届いていないことが判明し、当初施工不良を認めなかった売り主も、最後は社長が謝罪した。管理組合は臨時総会で全面建て替えを決め、21年4月から建て替え工事が始まった」(不動産ジャーナリスト)
基礎杭が支持層に達していないという建て替えせざるをえない欠陥とまではいかないまでも、今後の中古価格にも影響を与えそうな最新のキーワードが「耐震(構造)スリット」だ。耐震スリットの不十分な欠陥マンションが増加、問題となっているのだ。