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赤いきつね炎上:ロマン優光連載329

連載
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「可愛さ」の表現

このCMについて「性的」であると忌避感をおぼえる人が存在するのはなんとなく理解はできる。一つには、女性の描写から作り手のフェティシズムを感じ、それが受け入れられない人もいただろうということだ。

人間・人体を絵画的な表現で表す場合、作り手のフェティシズムが反映されるのは必然だろう。写真・実写映像でもそれはあるのだが、作り手によるディフォルメが入ることでより顕著なものになる。

頬を赤らめたり、目をうるませたり、髪をかき上げたりする(「んしょ」という言葉を発するのは絵画的表現ではなく台詞上の演出だが、同じ効果を担っている)のは「可愛さ」を表現するためのディフォルメであるとは思うが、そこに反映されている作り手のフェティシズムに対して、許容範囲を超えたものを感じて忌避する人もいることだろう。

これらの描写はアニメ・漫画では多く見られるものであり、男性向けだけではなく女性向けのもの、女性キャラだけではなく男性キャラにも見られる。それに慣れ親しんでない人には文脈が読みとれない人もいるだろうし、そこにみられるフェティシズムそのものを性的なものの反映として問題視している人もいるだろう。

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また、グルメ漫画などでは食の快感を表現するのにキャラクターに恍惚の表情をさせ、それが性的な快感をえているときの描写に似たものだったりする(キャラクターの性別年齢に関わらず、こういった描写をみることはできる)。エクスタシーを感じるほど美味しいという記号なのだが、作者の性癖が反映されすぎているものもある。こういった一部のグルメ漫画の記号を受け入れることのできない人もいるだろう。『ミスター味っ子』で主人公の味吉陽一が頬を赤らめるのは子供らしい可愛らしさを表現したもので性的にフェティッシュなものとは違う気がするが、性的にフェティッシュな描写のあるグルメ漫画もあるのは確かである。

これらのこととは別にCM内の女性の描写が不自然であり、そこに男性に都合のいい女性像を見出して不快になった人もいるだろうし、そのリアリティの欠如に女性に対する軽視を感じた人もいると思う。

麺の食べ方、揚げの食べ方が非常に不自然ではあるが、あのキャラデザインではリアルにそれをやると絵的に可愛く見せるのは無為なのではないかと思う。漫画・アニメのキャラクターデザインにはデザインのイメージを保ったまま、食べ物をリアルに食べさせるのが難しいものが結構ある。だから不自然な食べ方になったり、大幅にディフォルメされた表現であらわすのだが、あのCMのムードやキャラクターでは大幅にディフォルメは無理だろうから、ああなるのかとも思う。監督、コンテ、キャクターデザイン、演出、作画監督を担当した山下RIRIさんの他の作品をいくつか見てみたが、Midnight Grand OrchestraMidnight Mission』のMusic Videoでも女性キャラが同じように麺をすするのが確認できる。

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