ところがSNSでは、それこそ誰もが参加し誰もが自由に発言できます。しかもそれは匿名ですから、責任に囚われず、どのような無茶な発言も可能です。それに対して「まあまあ」と言う人もいるでしょうが、それ以上に、同様に無茶な意見を持つ人が「そうだ! そうだ!」と囃し立て、無茶な意見が修正されることもありません。そのような状況では、簡単にトンデモな陰謀論が語られ、無茶であればあるほど多くの人に流布し、流布した後は幾ら言っても修正できないものであることを、今我々は目の当たりにしています。
勿論言論の自由は極めて大事で守らなければならないものですが、ワクチン陰謀論がただ単に多数の人に流布したという理由で、ワクチンが廃止されたら、多数の感染症が蔓延して死屍累々になってしまいますし、きちんとした組織改正を行うことなく財務省を解体したら、何より国債を売って借り換えることができなくなってデフォルトが生じ、日本経済は大混乱、多くの人が路頭に迷う結果になってしまいます。
私たちは、SNSによる「発言権という概念の消えた(誰もが無責任に発言できる)言論の場の登場」という新たな状況に対し、事実に基づく合理的な言論・政治が確保できる新たな方策を講ずるべき時に来ていると思います。
私たちがこのBUNKAタブーを買って素敵なお姉さん方の素敵なお姿を堪能できるのも、天然痘他の感染症がワクチンによって制御されて多くの人が健康的美貌を保つことができ、国の財政が維持されて国内の金融・経済システムがきちんと回っているお陰なのですから。
文/米山隆一
初出/実話BUNKA超タブー2025年5月号
PROFILE:
米山隆一(よねやま・りゅういち)
1967年生まれ。新潟県出身。東京大学医学部卒業。独立行政法人放射線医学総合研究所、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、おおかた総合法律事務所代表弁護士などを経て、2016年10月に新潟県知事就任。2021年10月、衆議院議員選挙にて旧新潟5区で初当選。立憲民主党所属。
Twitter @RyuichiYoneyama