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政治社会学者木下ちがやに訊く『なぜリベラル&左派は普通の日本人から嫌われるのか』

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木下 2010年代半ば頃は、BuzzFeed JapanやHuffPostのようなメディアがリベラルな記事を取り上げて、ネットでの影響力も強かった。でも、実はそれが届いたのは、いわゆる中央線沿いの大卒の高等遊民がほとんど。全国各地の働く人に届いたり、地域の人を包み込むような「世論の作り方」ができなかった。そこで裾野が広がらなければ、先細りするのは必然だし、実際に共産党や立民、れいわ新選組が支持を減らしていることにつながるんですよね。また、2015年は、共産党と民主党の野党共闘によって、安倍政権に対抗していくという枠組みができた時期。それぐらい安倍政権は強かった。だから、高市さんや高市さんの周りの右派は、「安倍政権の夢よふたたび」と思ってる。一方でリベラルは野党共闘の夢を見てる。だから、右も左も「2015年をもう一度」という、ある種のノスタルジーの中に生きている。そのモードを切り替えるべき時期にきていると思うんですよね。立民としては、「中道」というだけじゃなくて、ちゃんと理念的にチェンジしないと。もう立憲主義という言葉自体が響かないだろうし。

――そういった状況を経て、20年代に入ると、国政選挙の投票率自体は上がっていますね。

木下 若い世代は永遠に選挙に行かないと思っていたら、ちょっと投票率が上向きになっています。これはいいことですよ。政治への関心は広がっているし、それが「ReHacQ」のようなメディアの隆盛につながっている。ただ、そういう「政治語り」は、左が欠けた形で進んでいると思います。

――現在の政治やニュース系メディアは、全体的に緩やかな反リベラルや親保守のようなマインドがある気がします。その意味では、なぜ現在の左派やリベラルは不人気なのでしょうか。

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木下 左派が衰退した要因の一つには、現実の職場や生活の中で、左派が与える影響が弱くなってしまったことがある。基本的には経済問題ですよね。経済成長期の労働運動は、戦えば戦うほど、賃金が上がっていった。つまり、左翼活動をすると、生活がよくなるという実感があった。でも、この失われた40年の中で、完全に経済成長が止まって、経済的な領域において、左派の存在意義が失われてしまった。その意味では、新たなニューヨーク市長となるマムダニは、メッセージの展開が上手かったんですよ。

――トランプが「イカれた共産主義者だ」と非難していますが、マムダニは「教育の無償化」「家賃や食料品の価格安定化」など、実は拍子抜けするほど、穏健な政策を提示していました。

木下 自身のことも民主社会主義者だと言っているけど、選挙運動ではすべて経済の話で固めていたんですよね。それによって、ニューヨークに住んでいる、高等教育を受けたけど、不安定な生活や経済的に困窮している人たちの支持を集め、2011年にあった「ウォール街を占拠せよ」「99%のために」をスローガンに掲げたオキュパイ運動に反応してたような人たちを、発掘してるんですよね。これは大したもんですよ。「多様性を認める人が知事になった!」と日本のリベラルは喜んでいるけど、勝った要因はそこじゃなくて、とにかく「労働者階級と共にあるんだ」という姿勢とメッセージを出して、「自分たちの代弁者なんだ」と市民に認識させた。でも、蓮舫さんはそれができなかったんですよね。結局、Woke左翼みたいな人たちの支持は受けたけど、市民には届かなかった。

以前は大衆政党だった共産党

――木下さんは元共産党員だったそうですが、現在の共産党には批判的な発言もされていますね。

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