37本目・『パッセンジャー』
寝るのが遅くなったり。なかなか寝付けなかったり。ある。そんなとき、寝て1時間か2時間しか経ってないのに電話で起こされたりしたことがみなさんはありませんか?
私はあります。
最近、ありました。
電話がかかってきたのは朝の9時でした。
ま、世間一般的には始業時刻だったり早い店なら開店時刻だから世の中、動き始めていると言っても間違いではないが、世の中にはいろんなライフスタイルがある。
昨日や今日の話ではなく私が眠りに就くのは真夜中である。東の空が明るくなる寸前。明るくなり始めてから眠ることも多い。季節によっては完全に明けている日もあるが若干眠りにくい。
漫画家時代もそうだった。静かな夜でなければ集中できないのだ。週刊誌編集時代もそうだった。朝、印刷会社が原稿を取りに来るのだ。テレビや映画の出演はだから厳しかった。早朝スタートの場合は徹夜明けになる。
ま、世の中いろんな人がいる。
いろんな習慣がある。
寝ている時間に電話がかかってくることもある。
なので電話の音を切って寝ている人も多いだろう。現在、私もそうしている。
ただこれだと寝坊をして、誰かから電話がかかってきても起きられなくなる。
そこが問題である。
この件に関してはまた考えてみよう。個人的に。
映画『パッセンジャー』の話であるが。
起きる予定より早く起こされるとたいへん腹が立つ。
遠い天体に向かう大型宇宙船が舞台である。
クリス・プラットが長期冬眠状態からひとりだけ目覚めてしまう。これは事故だった。宇宙船には何千人が乗っているが起きているのはただひとり。あとはロボットだけ。バーカウンターにロボットがいて会話はできるのだがまーこのロボットが如才ないだけにつまらない。
みんなが起きるのは百年近く先。
それまで孤独に耐えられるだろうか。
なに書いてもネタバレになりそうなのでもうそろそろやめますがクリス・プラットは故障で起きたのであって誰かに起こされたのではない。誰かに起こされる人は別にいる。
それともうひとつ。優秀なロボットに悪意はないし一見いいやつなのだがそれがいちばんたちが悪い。判で押したような正義や常識は繊細な人間とはあわない。
出演/ジェニファー・ローレンス、クリス・プラット、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア
脚本/ジョン・スペイツ
撮影/ロドリゴ・プリエト
音楽/トーマス・ニューマン
監督/モルテン・ティルドゥム
<隔週金曜日掲載>
画像/上記作品 ポスター
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OTOKONOHAKABA