第12回:蛭子脳は物事の本質をつく
認知症を公表する前から、否、認知症になる前から、否、物忘れが目立つようになってから、否、そもそも天然ボケと言われてた40代絶好調の時からよく本人に向かっても言っていたことがある。
「蛭子さんが麻雀や競艇のやり方が分かんなくなったその時が本当の痴呆症だね(※ムカシは認知症と言わず痴呆症と呼ばれていた)」と私はとにかくそのボケっぷりに接するにつけそう言っていた。そして実際そこを目安にしていたので、5年前認知症を公表した時も正直、血中蛭子濃度が濃くなったくらいに思っていたのだが。
が、しかし3年前から麻雀牌の並べ方や競艇の投票の仕方がおぼつかなくなり、そして徐々に麻雀や競艇の基本的なルールもあやふやになり、ついに現在は麻雀、競艇に興味がなくなってしまったので、ついぞ私のなかでも天然ボケ蛭子能収は本当にキャラとしての天然ボケから真性のボケ老…おっと認知症になってしまったのである。
ギャンブルに無関心な蛭子さんなんて考えられず、それじゃあもはや蛭子能収ではない。
…ともいえるがそれでも蛭子さんは蛭子さんだ。
昔っから傍目にはおかしな言動ながら、が、しかし物事の本質はついていたりもする。
それは認知症が進行した今でもしばしばある。