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「蛭子能収は裸の乞食だ」:根本敬の「蛭子能収タブーなし!但し『ぼぼ』は禁句」連載15

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第15回:「蛭子能収は裸の乞食だ」

「蛭子能収は裸の乞食だ」とは、蛭子さんの漫画本『私立探偵エビスヨシカズ』の帯文に水道橋博士が寄せた言葉だ。

言い得て妙である。

芸能人としても人気者で(人気でなく「人気者」というとこがポイント)、漫画家としてもはたまたアーチストとしても全然威厳やら格好良さを昔から感じさせない蛭子さん。

しかし、場合によっては「へえー」と思ったこともなくはない

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あれは12年ほど前になるか。広島県福山市の鞆の浦へ一緒に講演に行ったときのこと。

講演、サイン会、夕食会が終わったそのあと。町のボス的存在の巨大スナックオーナーで芸達者な、とにかく地元では有名な素人芸能人の店へヒトを介してお呼びがかかり訪ねることになった。

巨大スナックへ行くと、町中の年配男女が集まり日本全国で有名人となっていたテレビの蛭子さん、その実物が姿を現すや皆さん歓喜した。

わー、凄い、テレビで見てるけど蛭子さん本物だー!」

と、皆さん大はしゃぎ。

ボスは威厳を保ちつつ丁重に蛭子さんを特等席に。

そして自慢の一人芝居(からくりをつかって複数の人物がやってるかに見せる)を始めたのだが、いつも通りいかずに失敗の連続であった。おまけに小道具まで壊してしまい、いつもは威厳のあるであろう町のボスは小さくなって蛭子さんのほうに向かい「では、この辺で」ときまりわるうに幕を閉じた

町の芸能人でスターのボスは、本物の芸能人で有名な蛭子さんを目の前に緊張して、いつものように振る舞ったり立ち回ったりできなかったのだ。

そういうボスの一連の動きを蛭子さんはハナから「どうでもいい」という態度で、眠気もありぼんやりと黙って、ときに冷ややかに見ていた。見ていたというより眺めていた。

この時私はちょっと、「あー、蛭子さんってやっぱり芸能人なんだ」と初めて思ったのだった。

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