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「この漫画の初回がとんでもない」ロマン優光のTOP3

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エンタメマンガ
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この手の企画では「この漫画の最終回が~」が定番だが、なら初回で語ることも可能では? 最終回の逆は初回だし。漫画の好事家たちに、初回が魅力的な漫画を3作品を挙げてもらった。今回はロマン優光さん。

PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
1972年生まれ。高知県出身。「ロマンポルシェ。」のディレイ担当。ソロのパンク・ロック・ユニット「プンクボイ」としても活動している。近著に『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』など。
X:@punkuboizz

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初回からフルスロットル

理想的な連載バトル漫画の第1回というものを考えたときに脳裏に浮かんでくるのは『北斗の拳』や『美味しんぼ』であり、バトルの背景にある世界観のわかりやすい提示、バトル自体の強烈なインパクト、主人公の背後に漂う謎に関する匂わせが完璧な形で行われているといえよう。連載漫画の第1回というものは今後の人気を占うために重要な役割を果たすものであり、漫画を読むという行為の場が紙の雑誌からWebへ移行していくにつれ、わかりやすさとインパクト重視の傾向はさらに強まっている。

近年のバトル系漫画の素晴らしい初回について考えていこうと思うのだが、藤田和日郎という作家は『うしおととら』『からくりサーカス』といった傑作を生みだした偉大なる作家であるものの、スロースターターであるという弱点を長年抱えてきた。

物語が本格的に動き出すまでにかかる時間が本当に長い。初回の凄さという話とは相性が非常に悪い。

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しかし、『双亡亭壊すべし』はそんな藤田のイメージを打ち破る、初回からフルスロットルでこちらに飛び掛かってくるような作品であった。今までの藤田作品であれば数巻をかけて説明されてから始まるような、派手な見せ場と大惨事が初回から巻き起こり、ただただ熱い。

『黒博物館シリーズ』のような青年誌の短期連載で身に着けたわかりやすい導入部の技術が反映されたというのもあるだろうが、なにより自分の影響下にあるような若手作家による『鬼滅の刃』のような人気作に対する大人気ないにもほどがあるライバル心、そこからくる最新の漫画に対する研究心が藤田というベテラン作家を新しい境地にすすめたのである。

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