297回 都知事選雑感
まるで蠱毒の壺の中にいるようだ。
東京都知事選を前にした、様々な出来事を見ているとそう思う。
蠱毒というのは古代中国の呪術で、蛇・ムカデ・蛙など様々な生き物を一つの壺に入れて互いを喰らいあわせ、生き残った一匹が強大な呪力を持った毒物になり、その力を使って他人に害を与えたり、富を得たりするというもの。
今回の都知事選は様々な人々の様々な思惑が絡んで考えられないような出来事が起こりすぎてクラクラしてくる。そして、それは政治とは関係のない何かであり、まるで東京都自体が巨大な蠱毒の壺のようだ。
通称・N国党による選挙ポスター掲示板を利用したショバ代ビジネス。関連政党含めて24人を立候補させることで得た24枚分のスペースを利用して、自分が用意したポスターを自由に貼れる権利を1ヶ所5000円で販売するというものだ。
販売されたスペースを利用して貼られたポスターは問題あるものだらけだ。
人気格闘家の偽造サインをネットオークションに出品して詐欺の疑いで逮捕されたことがあるキックボクサー・ぱんちゃん璃奈氏をはじめ、自己の宣伝のためN国の掲示板ビジネスを利用している人は何人もおり、東京都知事選挙に立候補していない無関係の人の顔が何枚も選挙ポスター掲示板に貼られる事態になっている。これだってたいがいひどいのだけど、よりひどいことが色々ある。
例えば、さまざまな女性の写真に「カワイイ私の政見放送を見てね」と書かれたポスター。ポスター上のQRコードを読み取ると出逢い系アプリにつながる。ちなみに関連団体のひとつ、政治団体「カワイイ私の政見放送を見てね」から内野愛里氏が立候補している。
東京韓国学校に最も近い最寄りのポスター掲示板に「日本の拉致被害者を返せ!」というポスターを貼ったものもいる。意図としては嫌がらせでしかないだろうし、北朝鮮に対する文句を韓国学校に言うなど、あきれるしかしようがない。ほんと、なんなのだろう。
墨田区社会福祉会館の前のポスター掲示板には部落差別を煽るようなポスターが貼られ、これはN国側がさすがにまずいと判断し、即座に回収された。
その他、公選法違反が疑われるポスターもあるし、N国界隈の内紛で分裂した、立花孝志氏と係争中のみんなでつくる党の党首・大津綾香氏を誹謗中傷しているかのようなポスターもある。