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「この漫画の初回がとんでもない」ロマン優光のTOP3

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2019年に『週刊少年チャンピオン』で連載がスタートした『娑婆王』(暦)の第1話はこれから始まる壮大な物語への期待を抱かせるのに十分な非常に力強くインパクトのあるものだった。

黒髪・黒い瞳の黒曜族に戦で敗れた金髪・碧眼の翡翠族は奴隷化。黒曜族の皇帝・炎龍は剣奴を集めた勝ち抜き戦「娑婆十煉獄」を行い、それに勝ち抜いた最強の剣奴には「娑婆王」の称号と皇帝の座を与えることを宣言。娑婆王を目指し、同族同士が殺しあう剣奴たちの哀しい戦いが始まる。最強の剣奴・片瞳の正体は果たして伝説の英雄・赤嵐(アラン)なのか……。

非常に期待を持たせるような始まりだったのだが、あえなく3巻で連載終了。小野田坂道くんのような日常に潜む無意識の狂気を求める今の『週刊少年チャンピオン』に『娑婆王』の泥臭いまでの熱さは求められていなかったのか、暦先生のこだわりが週刊連載と相性が悪かったのか、裸の美少年がいやらしすぎたためなのか。

現在は『娑婆王・獄』として暦自身の手で続編が電子書籍の形でリリースされているが、暦の性癖が連載時よりもさらに強く打ち出された混沌とした世界がそこにある。

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『少年ジャンプ+』で連載されていた『地獄楽』(賀来ゆうじ)の第1話はまがうことのない傑作であった。今は捕らわれの身である最強の忍として畏れられていた抜け忍・がらんの画眉丸に打ち首執行人・山田浅ェ門佐切(女性)が持ち出した解放条件。それは極楽浄土と噂される島で「不老不死の仙薬」を持ち帰ること。

とにかく、この第1話はダークでハードな色が濃く、かっての『無限の住人』のような狂った時代劇バトル漫画が始まる予感に震えたものである。

実際に完結した『地獄楽』は非常に面白い漫画だった。ただ、1話でこちらが期待した物語とは違う。なにが悪いわけでもなく、本当にいい漫画であるのは間違いない。

バトルシーンも充実しているし、全般的に非常に「いい話」でエピローグとかとても好きなのだが、この感じは『バウンサー』(みずたまこと)を読んでるときにたまに脳裏をよぎる「面白いけど1話で思ったのとなんか違う」感に近いものであり、思い出すたびにちょっと不思議な気分になるのである。

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文/ロマン優光
画像/『双亡亭壊すべし』1巻(藤田和日郎/小学館)
初出/『実話BUNKA超タブー』2025年7月号

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