しかし、きっかけは映画『妖怪の孫』の試写会で3人が同席したことにあるわけで、それをきっかけに本を紹介するのは、まあ普通の話だ。 新刊の内容も、鈴木氏は山上徹也に関してのもの、Kダブシャイン氏の本もTwitterで発言していたような陰謀論的な内容を含む本ではないようだ。そうなると内容的に根本的な対立をしているわけでもないし、双方の本に感銘を受けても別に不思議ではない。
違う話だが、松尾氏がKダブシャイン氏の発言をどこまで認識しているかもわからず、親トランプ派だとは認識できていても、細かくSNS上の発言をチェックはしていない可能性もある。同時に、知った上で問題視していない可能性もある。ただ、Kダブシャイン氏を問題視はしていないということだけしかわからない。松尾氏の発言傾向からすると、Kダブシャイン氏がしてきたSNS上の発言には許容できないものがあると考える人もいるだろうし、うかつと考える人もいるだろう。その点で批判する人もいるとは思うが、「2人の対比を無責任に面白がっているだけで陰謀論的なものに無頓着すぎる」と批難することまではできない。自分が知っていることを他人が知っているとは限らないわけで、当事者が知ってる前提で何でも考察してもしかたない。
この松尾氏の件も凄く変なことが起こっているような気がするが、普通のことの積み重ねが変な状況を生んだだけだと判断するのが妥当ではないだろうか。
たいていのことはそういうものだと思う。
〈金曜連載〉
写真/日刊ゲンダイDIGITALよりスクリーンショット
PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
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