一方、『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』は同名の漫画を元にした作品で、「デリカシーのない言動が多く、家族や部下との関係がややぎくしゃくしている昭和生まれの会社員・沖田誠(原田泰造)が、ゲイの青年と知り合い、仲良くなったのを機に、少しずつ価値観のアップデートをはかっていく」という物語。こちらは教科書的・入門編的な内容で、やや真面目すぎるかな……と感じなくもないんだけど、セクシュアリティのアウティング問題にまで丁寧に触れられていて、アタシはとても好意的に観ているわ。
表現方法は違えど、同じクールに「昭和の価値観と令和の価値観」を扱うドラマが複数あるというのは、なかなか興味深い現象。それだけ、価値観の変化に戸惑いを感じている人が多いということなのかしら。もちろんセクハラパワハラは問題だけど、規制が多くなると、生きづらさ息苦しさが増すのもたしか。それぞれのドラマが、最終的にどんな形で着地するのか、今後の展開が楽しみだわ!
<水曜日掲載>
PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001