第481回 井上貴博アナの号泣慶応愛で考える甲子園の応援のあり方
8月23日、昨年夏に続き2連覇を狙う仙台育英高校と、107年ぶり2度目の優勝を狙う慶応義塾高校(以下、慶応)が対決し、慶応の勝利で幕を閉じた、第105回全国高校野球選手権記念大会決勝戦。
両校のナインの健闘が讃えられる一方で、「慶応サイドの大きすぎる応援の声に、仙台育英の選手の声がかき消され、落球する」という場面もあり、慶応OBの応援マナーが批判されることに。
これに対し、幼稚舎から慶応に通い、高校時代は野球部に所属し、学生コーチを務めたこともあるという TBSの井上貴博アナウンサーが、26日、パーソナリティーを務める同局のラジオ「井上貴博 土曜日の『あ』」で「選手に(応援批判の)矛先を向けるのは違うと思う」「大事な大会で声聞こえないなんて当たり前なんですよね。でも、それをこうやって彼らは練習してきてて、仙台育英に失礼だよね」と号泣。それが、「誰も選手のことは批判していない」「なぜ知りもしない仙台育英のことを勝手に語るのか」「慶応OBへの批判をそらすためにわざと論点をずらしているのではないか」と、さらなる批判を浴びているわ。
実はアタシ、井上アナの顔のファンなの。ちょっと垂れ気味のあっさりした目といい、上唇に比べ、やや厚めの下唇といい、男性アナウンサーの中ではもっとも好きだと言っても過言じゃないのよ! なので、「井上アナ号泣し炎上」みたいなネットニュースのタイトルを見て、「アタシの井上アナをいじめないでッ」と思い、問題の「土曜日の『あ』」を観てみたんだけど……。「わざと論点をずらしている」と言うより、自分が所属していた部の後輩が優勝し、かつ自分の同窓生が批判され、気持ちが昂ぶって冷静さを失い、事実誤認をしてしまったのではないかという気がしたわ。まあ、それはそれで「アナウンサーとしてどうなのか」と言われてしまうかもしれないけど、人間だもの、そんなときもあるわよね。ってアタシ、甘い? 井上アナの顔と涙にダマされてる?
ただ、慶応の応援がやや過剰すぎたのは間違いなし。107年ぶりの優勝がかかっていて、ヒートアップするのもやはりわかるけど、守備中の応援とか、アルプススタンド以外で立って応援とか、明らかなマナー違反は大人気ないわよね……。あと、純粋な高校野球の応援というより、どうしても「慶応ブランドのための応援」みたいに見えてしまったあたりも、批判されている原因かも。
早慶戦(慶早戦)などで鍛えられている慶応の応援団がすごいのはたしかだけど、高校野球の応援は、やはり高校生が主体であってほしい。これが来年以降の応援のスタンダードにならないことを祈るわ。
<水曜日掲載>
写真/TBS公式HP、アナウンサー名鑑より
PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001